【解説】「聞く耳」強調しながら耳貸さず…自己都合優先の衆院解散

2021年10月14日 12時01分
衆院本会議場

衆院本会議場

 衆院議員の任期が21日に満了するのを前に、岸田文雄首相は衆院解散に踏み切る。現行憲法下で初の任期越え、解散から投開票日までの期間も最短という異例ずくめの衆院選となるが、日程の設定は自己都合優先と言わざるを得ない。
 首相は31日投開票としたことに関し、迫る任期満了や、コロナ対応の経済対策に充てる2021年度補正予算案を早期に編成する必要性を挙げ「可能な限り早い時期に選挙を行う」と説明した。だが、そもそも解散が遅れたのは、菅義偉前首相の退陣による自民党総裁選という1政党の事情であり、任期越えは総裁選日程の前倒しをしなかった自民党の責任だ。
 衆院選の投開票を日曜日とした場合、公職選挙法上は国会を開いていれば、最も遅い日程は11月28日。臨時国会の会期を今月14日まででなく、もう少し長くしていれば、野党が求めた1問1答形式の予算委員会の開催も可能だった。ここまで遅れたなら応じる選択肢もあったはずだが、首相は自身の持ち味として「聞く力」を強調しながら耳を貸さず、一方通行の各党代表質問しかできない期間にとどめてしまった。
 新首相の就任直後は、政権が支持を得やすい「ご祝儀相場」と呼ばれる。自民党内では、首相の判断を歓迎する声も出ている。それが大きな動機なら、補正予算編成という理由もまやかしとなる。
 首相が「岸田に任せていただけるのかどうか、判断いただく」と主張するのに対し、野党第1党の立憲民主党の枝野幸男代表は「自民党では変わらないことが明確。『変えよう』がポイントだ」と対決姿勢を強める。有権者にとって、4年ぶりの政権選択の秋になる。 (清水俊介)

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