性善説に立ちすぎ? 入札に「抜け道」も 126の企業・団体からデジタル庁へ民間職員

2021年10月16日 06時00分
 デジタル庁の民間職員のほぼ全員が非常勤で、出身企業との兼業が大半を占める実態が明らかとなった。その出身企業・団体は先月1日の発足時点で126を数える。デジタル政策の遅れを取り戻すために民間の力が必要な一方、兼業先など特定の業者に事業を依存してしまう懸念がつきまとう。(皆川剛、坂田奈央)
 同庁が社民党の福島瑞穂参院議員に提出した資料を本紙で集計したところ、最も多く職員を出している業種は、69社・80人のITや電機メーカーだった。ヤフーや日本マイクロソフトのほか、東京五輪・パラリンピック向けの健康管理アプリ(オリパラアプリ)の開発を共同で受注したNECやNTTコミュニケーションズ出身の職員などが名を連ねた。
 同庁の狙いは政策の遅れを取り戻すことのほか、従来の政府のデジタル事業の受注が少数の大手IT企業に独占され、企業側の言い値で契約するような非効率性の解消もある。しかし、政府の資料には、これまでも数多くの事業を受注してきた社名も出身企業として登場する。
 官民の癒着防止について、元会計検査院局長で日本大の有川博客員教授は「技術的なノウハウは民間の知恵を活用するほうがいいが、(事業発注の)公正性や透明性の確保は国がしっかりやらないといけない」と指摘する。
 同庁は民間出身の職員がある事業に関与した場合、兼業する企業が入札できなくなる規制を一応は設けた。だが、職員が兼業先に事業の情報を伝達していない場合、入札が可能となる「抜け道」も用意された。同庁のコンプライアンス委員会の有識者は「性善説に立ちすぎている」と批判する。
 有川氏も「例外を認めれば歯止めがきかなくなり、公正性を確保するのは難しい」と懸念を示す。民間職員の兼業先以外の事業者にも、入札に関する情報を積極的に提供する公平な仕組みが必要だと提言する。

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