楽観論でオリパラ開催、医療逼迫招いた安倍・菅政権 争点は「第6波」対策

2021年10月17日 06時00分
<民なくして10・31衆院選㊦いのち> 
 安倍・菅政権は新型コロナウイルス感染症の流行の波に何度も直面し、対応を迫られてきた。緊急事態を宣言して国民に外出や店舗営業の自粛を呼び掛け、病床の確保や希望者全員へのワクチン接種も進めた。それでも東京五輪・パラリンピックを開催した今夏には最大の「第5波」が到来。患者が入院できずに亡くなる事態も起こり、「命の選別」が現実問題となった。衆院選はこの1年半余の対応の評価や、「第6波」に向けた方策が争点となる。(大野暢子、曽田晋太郎)

◆「Go To」迷走

 最初の波が到来した安倍政権では、昨年3月にオリパラ開催の1年延期や、全国一斉休校を決断。4月に初の緊急事態宣言を発令した。国民も危機感を抱き、街角の人出は激減。感染はいったん下火となった。
 だが、感染症対策に「油断」は禁物だった。
 7月、旅行費用を公費で補助する「Go To トラベル」事業を開始。感染は再拡大傾向にあったが、当時の安倍晋三首相は事業を全面停止しなかった。9月に発足した菅政権にも、感染拡大を防ぎながら経済を回すという「両輪」対策は引き継がれた。
 結局は「第3波」に入った12月に「Go To」は全面停止。流行は止まらず、当時の菅義偉首相は人出が増える年末年始の後に2度目の緊急事態を宣言した。野党は「対策が小出しかつ後手後手で、深刻さを失っている」と批判した。

◆オリパラにデルタ株直撃

 4月には「第4波」が直撃。感染力の強いデルタ株への置き換わりが急速に進む中、夏のオリパラ開催の是非が議論になった。政府のコロナ対策分科会の尾身茂会長は国会などで、東京での感染拡大、医療逼迫ひっぱくを警告し、開催も「普通はない」とまで踏み込んだ。
 菅首相(当時)は「国民の命と健康を守るのが私の仕事で、開催の前提」と強調しつつ、その具体的な基準や条件は語らないまま、大会に突入していった。政権が頼みの綱としたのはワクチンだ。接種が一定程度進めば、感染拡大は抑えられるとの読みがあった。
 政権のもくろみは崩れ、「第5波」時の8月上旬には医療逼迫で入院対象が重症者や重症化リスクが高い患者に限定された。一律に入院対象だった中等症者が自宅待機を余儀なくされる例が増えた。病床は「第3波」時に当たる昨年12月末の約2万7000床から、この時期には1万床近く増えたが、医療機関などでの人材・設備の不足、保健所の業務逼迫などには効果的な対策は見いだせなかった。

◆感染防止も生活も「自己責任」

 目指す社会像として「自助・共助・公助」のバランスを重視するとしてきた安倍・菅政権。だがコロナ対策では、感染防止を国民の自粛に頼る一方、事業者支援や医療のセーフティーネットは十分機能せず、自己責任で命を守る「自助」が前面に出る場面があった。
 岸田政権発足直後に行われる衆院選は、「公助」の在り方を巡って与野党が競う。自民党が「感染対策と経済活動の両立」を強調し、「Go To」事業の早期再開などを掲げる一方、立憲民主党は生活・事業支援を前提に、徹底した感染封じ込めを重視する。

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