「第三者委設置、情報開示を」被害住民の会が集会 調布陥没から1年

2021年10月16日 21時19分

声明文を発表する「外環被害住民連絡会・調布」の共同代表河村晴子さん(右)ら=16日、東京都調布市で

 東京外郭環状道路(外環道)のトンネル工事の影響で東京都調布市の住宅街の市道が陥没してから18日で1年を迎えるのを前に、住民らでつくる「外環被害住民連絡会・調布」が16日、市内で集会を開いた。工事ルート真上だけでなく周辺でも地盤が緩んでいる可能性が指摘されたばかり。参加者から事業者の東日本高速道路(NEXCO東日本)に、積極的な情報開示を求める声が上がった。(花井勝規)

◆NEXCO東日本に不信感「騙されるところだった」

 集会にはオンラインを含め約90人が参加。ルート周辺の住宅で独自に地盤調査した結果を13日に公表した稲積真哉芝浦工業大教授(地盤工学)が講演した。
 東日本高速は、地中でトンネルを掘るシールドマシンから真上に、煙突状に地盤の緩みが生じたと説明したが、稲積教授はルート周辺の1カ所で地中のビデオ撮影をしたところ「蜂の巣状の空隙くうげき(すき間)ができていた」と報告。「工事の振動で表層地盤が緩み、不安定な状態だ。早急に(ルート周辺も)補強しないといけない」と指摘した。
 会場の参加者からは「『トンネルの真上以外に地盤の緩みはない』との東日本高速のウソにだまされるところだった」との発言も。
 自宅近くで空洞が見つかりながらも、わずか31センチルートから外れているため、東日本高速の地盤補修工事に伴う移転対象にならなかった女性(79)は、近所で引っ越しをする家が出始めた様子を語り、「(陥没事故が)地域をばらばらにした」と嘆いた。
 長年トンネル工事に携わってきた経験を持つ男性は、正確な事実究明のため、東日本高速が設置した有識者委員会に代わる第三者委員会の設置を求めた。
 集会の最後、河村晴子さんら連絡会の2人の共同代表が、市道陥没を発端に地中から空洞が見つかった1年を振り返り、「不都合な情報を一貫して出さない東日本高速道路にだまされ続けてきた。住民は今、不信でいっぱいです」などとする声明文を読み上げた。

◆掘削再開見通せず リニア工事にも波及

 東日本高速道路は、調布市東つつじケ丘のシールドマシンの停止位置から南に約220メートル、幅16メートルの範囲は地盤が緩んでいるとし、地盤の補修工事を行う方針で、工法を検討している。施工には住宅の解体・撤去が必要とし、対象の約30世帯と仮移転を希望するか買い取りを希望するか話し合いを進めており、住民によると、既に引っ越した世帯もあるという。
 同社は、周辺の約1000世帯には家屋被害があれば原状回復のため補修するとし、調査や工事を進めている。9月末時点で255世帯から調査の相談を受け、うち200世帯は補修工事を行っているか終えたという。陥没後に中断した掘削工事の再開時期は「見通せる状況にない」としている。
 地盤が緩んでいる可能性のある範囲について、当初はシールドマシンの停止位置から南360メートルとしていたが、トンネル内からボーリング調査をした結果、220メートルに縮小した。
 しかし、芝浦工業大の稲積真哉教授(地盤工学)は独自の地盤調査の結果、シールドマシンの通過ルートの外側でも地盤が緩んでいると指摘。同社は「ルートの真上以外に緩みはないと考えているが、調査の中で緩みを確認したら適切に対応する」としている。
 同じく大深度にシールドマシンでトンネルを掘るリニア中央新幹線の工事で、JR東海が、本年度当初としていた東京都品川区からの掘削開始を遅らせるなど影響が広がっている。
 また、外環道の他にもシールド工事による陥没が起きており、国土交通省は、陥没などを防ぐための指針策定を目指し、有識者による議論を始めた。(加藤益丈)

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