「説明しない政治」招いた負の連鎖とは…衆院選あす公示

2021年10月18日 06時00分
 第49回衆院選が19日に公示される。今回の選挙は「説明しない政治」を転換できるかどうかも争点。8年9カ月に及んだ安倍・菅政権は、国民の疑問や批判に向き合おうとせず、独断的な政治姿勢を貫いた。「説明しない政治」が長期間続いたのは、1人しか当選しない小選挙区制の選挙が低投票率で行われ、特定支持層を意識した政治に陥っていくという「負の連鎖」の結果ともいえる。(妹尾聡太、木谷孝洋)

◆安定した自民ブランド 小選挙区制で組織票の強み

 「大企業の一定層や農村部には、ブランドとしての安定した自民党支持があり、小選挙区制の結果、相対的に第一党になっている」
 日本大の岩崎正洋教授(政治学)はこう指摘する。
 2012年衆院選の投票率は59.32%。民主党政権ができた09年よりも10ポイントも落ち込む中、自民党が勝利し、第2次安倍政権が発足した。14年と17年の衆院選投票率は過去最低水準の50%台前半まで落ち込んだ。
 投票率が低くなると、組織票を多く持つ自民党が有利。特定層の支持を固めれば勝利に近づく。実際、当時の安倍晋三首相は、世論に不人気な政策を進めるために不可欠といえる幅広い国民に対する粘り強い説明を欠いていった。
 世論に背を向けた政治が続き、国民の政治に対する不信やあきらめが高まれば、選挙に参加しない国民が増えかねない。政治はますます自らを支持する層を意識すればよいという「負の連鎖」になっていく。
 安倍政権は「決められる政治」を掲げ、保守層を意識した政策を推進して、多くの憲法学者が違憲と断じた安全保障関連法などを成立させた。森友・加計学園や「桜を見る会」の問題についても、国民に丁寧な説明をせず、政治を私物化したとの疑問を国民に残した。後を継いだ菅政権は、国民生活に直結する新型コロナウイルス対策で説明を尽くさなかった。
 これまでの衆院選で、安倍政権に批判的な有権者は「選挙やデモに行っても変わらないという無力感」(岩崎氏)を感じ、投票所への足が遠のく人も少なくなかった。その結果が「一強体制」を継続させ、「説明しない政治」を強めた面は否定できない。

◆「言っても仕方ない」が導く低投票率

 「説明しない政治」が続いても、なぜ投票率は低いままなのか。
 世論調査に詳しい埼玉大の松本正生名誉教授(政治意識論)は「有権者の政治に対する期待値が下がったため」とみる。自身が手掛ける調査に関しても「政治への満足度を聞くと、『分からない』という趣旨の回答が増えてきた。何か言っても仕方ないという意識が強くなっている」と分析する。
 目前の衆院選も低投票率なら、「負の連鎖」は続く可能性がある。岩崎氏は「安倍・菅政権の業績評価と同時に、数年あるいは数十年先の政治を決める選挙になると、有権者は意識してほしい」と一票の重みを語る。

おすすめ情報