国内最古級 矢を運ぶ箱「靫(ゆき)」か 滋賀県彦根市の稲部遺跡

2021年10月17日 20時30分
 滋賀県彦根市で3世紀に最盛期を迎えた大規模集落跡「稲部いなべ遺跡」で漆塗り繊維製品の断片が複数、出土し、国内最古級の「ゆき」と呼ばれる武具の一部である可能性が高いことが分かった。オンラインで開かれた日本文化財科学会で、同市文化財課の戸塚洋輔主査、元興寺文化財研究所(奈良市)の植田直見さんらの研究グループが報告した。

◆3世紀の戦い支えた漆塗り織物

出土した漆塗り繊維製品の断片=元興寺文化財研究所の植田直見さん提供

 靫は矢を収納し持ち運ぶための箱状の武具。漆塗り繊維製品の断片は約10点(長さ2センチ強~20センチ弱)で、居住域の端に掘られた溝の跡で2019年9月に見つかった。研究グループは、共に見つかった土器の特徴や科学的な年代測定結果などから、3世紀中ごろの靫の一部と判断した。靫はこれまでに全国で30例ほど確認されているが、主に4世紀代のものという。

奈良県御所市の鴨都波1号墳で出土した靫の復元品。今回の出土品より後の時代のもの=同県立橿原考古学研究所附属博物館蔵

 今回の繊維製品は、着用に必要なひも通し部も残っていた。革などで作られた部分と組み合わされていたと考えられている。
 稲部遺跡は弥生時代後期―古墳時代中期の遺構が残る。16年度には、床面積188平方メートルの「超大型」を含む多数の建物跡や当時では最大級の金属器生産関連の遺構が確認された。(谷村卓哉)

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