ペルー左派政権迷走 大統領が首相更迭 与党反発し、新内閣信任せず

2021年10月17日 21時11分
9月、ニューヨークの国連本部で、一般討論演説に臨むペルーのカスティジョ大統領=AP

9月、ニューヨークの国連本部で、一般討論演説に臨むペルーのカスティジョ大統領=AP

 南米ペルーで貧困層の強い支持を受け7月末に船出したカスティジョ政権が迷走している。主要閣僚の交代を繰り返し、今月にはカスティジョ大統領が自身と同じ与党出身の首相を更迭。与党党首は14日、新首相を含む新内閣を信任しないと表明した。背景には改革を巡る路線対立があり、新政権は早くも正念場を迎えた。(ニューヨーク・杉藤貴浩)
 カスティジョ氏は6日、自身が所属する急進左派与党「ペルー・リブレ」出身の首相ベリド氏の退任を発表し、後任に党外の女性で前国会議長バスケス氏を指名した。現地メディアなどによると、ベリド氏はペルー・リブレの中でも特に急進的で、外資も参加する同国最大級の天然ガス開発を巡り国営化も辞さない姿勢を示すなど、経済界や右派野党が多数を占める国会との間に摩擦を生んでいた。
 就任約2カ月での退任は事実上の更迭とみられ、カスティジョ氏は「よりよい統治のために決断した。イデオロギーや特定の党よりもペルーを優先する時だ」と述べた。貧困地域の教師で労組活動家だった同氏は、ペルー・リブレに担がれる形で4月の大統領選に出馬。再分配強化など社会主義的な公約を掲げて6月の決選投票に勝利したが、最近では中央銀行総裁の続投を決めるなど市場に配慮した現実路線に傾いている。
 一方、ペルー・リブレの創設者でマルクス主義を信奉するセロン党首は自身に近いベリド氏更迭に反発。14日に発表した声明では「政権が中道右派に向かっていることは否定できない」とバスケス氏らの新内閣を信任しない方針を示した。セロン氏はツイッターで「野党にはならない」とも述べたが、徐々に与党と距離を置くカスティジョ氏に揺さぶりをかけた形だ。
 これまでにもカスティジョ政権では「ペルーでのテロ活動は米中央情報局(CIA)の訓練を受けたペルー海軍が始めた」と発言した外相が引責辞任するなど閣僚が不祥事などで相次いで交代。もともと強い権力基盤を持たず、政治経験にも乏しいカスティジョ氏の苦境が深まっている。

関連キーワード


おすすめ情報