<民なくして 2021衆院選かながわ>(7)米横須賀基地に英空母寄港 対中包囲網、拠点化に懸念

2021年10月18日 07時07分

米兵らが歓迎の演奏をする中、米海軍横須賀基地に寄港した英空母「クイーン・エリザベス」=横須賀市で

 九月四日、英空母「クイーン・エリザベス(QE)」が米海軍横須賀基地(横須賀市)に寄港した。同基地に米海軍以外の空母が入るのは一九九二年七月以来。基地を訪れたジュリア・ロングボトム駐日英大使は記者団に「インド太平洋地域における英国の存在感はより強まり、英日のパートナーシップはさらなる高みへと引き上げられる」と胸を張った。
 QE寄港には、海洋進出を強める中国をけん制する狙いがあるとみられる。QEを中心に、英、米、オランダ三国の海軍艦船など九隻で構成する空母打撃群は五月に英国を出発し、スエズ運河やインド洋を通って太平洋に展開。共同訓練を行い、自衛隊も参加した。
 全長約二百八十メートルと英海軍でも最大級のQEが着岸したのは、横須賀基地を母港とし、中東に派遣中だった米原子力空母「ロナルド・レーガン」が使う12号バース。八月末には、母港としない米原子力空母「カール・ビンソン」も使った。
 外務省はQEの寄港について「日英間の安保防衛協力の強化は極東の平和と安全の維持につながり、日米安保条約の目的とも同じ。QEを入れられる施設は米横須賀基地が適当ということで、米側の了解を得て決めた」と説明する。打撃群のうち三国の五隻が横須賀に寄港し、海上自衛隊横須賀基地も使われた。
 市民団体などからは、こうした連携の強化を懸念する声が相次ぐ。「横須賀市民九条の会」の岸牧子共同代表(65)は「市民がよく知らないうちに、いつでも、どの国の軍艦でも戦争のため、自由に出入りできる拠点に横須賀がなっているようで、憲法九条がなくなったような怖さを感じる」。
 米基地への原子力空母配備などに反対し、市民団体の共同代表を務める呉東正彦弁護士(62)は「自衛隊を含む横須賀などの基地で、憲法九条違反の多国籍軍の拠点化が進めば、報復の対象になる危険も考えられる」と指摘。「多国籍軍による包囲網は対中対立を深刻化させ、双方の紛争に日本と自衛隊が巻き込まれる可能性がある」ともみるが、市民の懸念は国に届いていない。
 防衛省がQEの横須賀寄港を発表した七月二十日、松川るい政務官(当時)は横須賀市役所を訪ね、寄港について上地克明市長に説明。「日英防衛協力が新たな段階に入ったことを示す象徴だ」と強調し、上地市長は「安全保障環境はこれまでにないスピードで変化している」と理解を示した。
 横須賀や県内で活動する十一の市民団体などは八月末、連名で要望書を市に提出し、共同訓練に「安保法制後の『集団的自衛権の行使』を前提とするような内容だ」と反発。「英空母の入港は無限定な使用による横須賀基地の機能拡大だ」と批判し、「多国籍軍」による米軍基地使用を認めないことなどを求めた。
 十月初めには沖縄南西の太平洋上で、日米英、オランダなど六カ国、計十七隻による共同訓練が実施され、QE、ロナルド・レーガン、カール・ビンソンも参加。海自の三隻のうち、二隻は横須賀基地配備だった。
 呉東弁護士はこう忠告する。「必要なのは、軍事的な活動ではない。外交努力による平和的解決だ」(村松権主麿)=おわり

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