「結局、真剣でないんだね…」福島から聞かれる岸田内閣への嘆き 復興相が沖縄・北方相と初兼務

2021年10月18日 20時17分

東京電力福島第1原発を視察する岸田首相。左奥は3号機。右は西銘復興相=17日午前

 1日も早い東日本大震災からの復興を成し遂げるための事業を担う復興庁。10人目の復興相は初めて、沖縄・北方担当相との兼任となった。岸田文雄首相は「東北の復興なくして日本の再生はない」と強調し、衆院選公示の19日も福島県内で第一声を上げる予定だ。しかし、復興相が基地問題を抱える沖縄や北方領土など重要課題との兼務になったことに、被災地軽視になるのではないかと被災者から懸念の声も上がる。(片山夏子)

◆首相「指摘は全く当たらない」

 岸田首相は10月4日の組閣時、復興相と沖縄・北方担当相との兼務について「復興を軽んじているという指摘は全く当たらない。東北の復興なくして日本の再生なしという原点は変わらない」と述べ、基本方針に震災復興も盛り込んだ。
 これを受け、福島県の内堀雅雄知事は会見で「事故から10年たつが、福島県の抱える問題は一段と複雑化し、より重くなっている。兼務である復興相がどう福島に向き合い、結果を出していくのかが問われると思う」とくぎを刺した。

北海道根室市の納沙布岬を訪れた西銘沖縄北方相(手前右)=18日午前

 肝心の西銘恒三郎復興相は6日に福島県を訪問。記者団に「総理には冒頭に全閣僚が復興大臣だと言われた。沖縄は今までの活動で見てきているため、優先的に被災地に足を運べるのではないかと考えている。福島県民の皆さんの不安が少しでも消えるように行動で示すしかない」と強調した。

◆「変わらない」「本気度疑う」



 自民党福島県連の深谷哲郎事務局長は「兼務かどうかにかかわらず、現場に来てもらい、復興再生を進めてもらうやり方は変わらない」。復興相だけではなく、経産、環境と関係する大臣らが着任後すぐに、福島を訪れたことを評価する。
 一方で「福島の復興への本気度を疑う」と話すのは立憲民主党県連の亀岡義尚幹事長。復興相が10年で10人交代したことにも触れ「原発の処理水の海洋放出など課題は山積み。復興はまだまだ道半ば。廃炉も含め先が見えない。沖縄、北方領土、原発事故を含む東日本大震災の復興…。3つの兼務は国全体の課題としてやるポストとして特別重い。やっかいな課題を集めたようにしか見えない。(兼任も次々復興相が変わるのも)福島の軽視だ」と断じた。

◆「本気で被災者の声を」

 「結局、真剣でないんだよね」。工務店を営んでいた福島県富岡町から郡山市に避難している杉義己さん(73)は深いため息をつく。自宅がある富岡町の避難指示は解除されたが、放射線量が高く、今も避難生活を続けている。
 「原発事故の原因解明もされず、国や東電も責任も認めないまま。賠償も終わっていない。被災地の声を聞かないで、海洋放出とか帰還困難区域の解除も決められた。富岡だって浪江だってほとんど住民が帰ってない。沖縄も多くの問題がある。それぞれの問題の深さを考えれば、兼務なんてできないはずだ。本気で向き合い、被災者の声を聞いてほしい」と訴えた。
 福島第一原発が立地する双葉町で自動車整備工場を経営していた新野亥一さん(74)は、郡山市に住む。来年6月には双葉町の自宅のある区域の避難指示が解除される見込みだ。「兼務になって福島に足を運ぶったって」と口ごもる。
 「福島選出の前の復興相(吉野正芳氏)だって最初はいろいろ言っていたが、最後は尻切れとんぼで福島のことを言わなくなった。復興相はみんな短命。政府もいろいろなメッセージを発するけど言葉遊びでしかなく、本気で取り組む姿勢がみられない。10年たっても帰れず、先が見えないまま。兼務の大臣に何ができるのか」と声を落とした。

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