「選択夫婦別姓」8対1の光景に 9党首の討論会、岸田首相だけ手を挙げず 

2021年10月18日 21時37分
 衆院選公示に先立ち、18日に開かれた日本記者クラブ主催の党首討論会。各党党首の訴えから、多様性や外交・安全保障、政治の信頼回復など主な争点を巡る立ち位置が明確になった。白熱した論戦を交わした各党は19日から、12日間の選挙戦に突入する。(我那覇圭、井上峻輔)

日本記者クラブ主催の公開討論会で、夫婦別姓の賛否を問われ自民党総裁の岸田首相(中)を除き賛意を示す各党党首=18日、東京・内幸町の日本記者クラブで

◆両肘を付けたまま

 両脇に並んだ8党の党首が全員、高々と手を挙げる中で、岸田文雄首相(自民党総裁)だけはテーブルに両肘を付けたまま。来年の通常国会に、選択的夫婦別姓を認める法案を提出することの賛否を挙手で問われた際の「8対1」の光景は、多様性を巡る最大与党の消極姿勢を際立たせた。
 「社会全体で受け入れるにあたり、どこまで国民の意識が進んでいるのか」。首相は導入への疑問を口にしたが、今年3月、制度の早期実現を目指す議員連盟の呼び掛け人に名を連ねた。同様に挙手を求められた性的少数者(LGBT)への理解を促す法案を来年の通常国会に提出することにも唯一、賛意を示さず、安倍晋三元首相ら党内保守派への配慮をにじませた。
 制度の早期実現を公約した立憲民主党の枝野幸男代表は「多様性のある社会を進めていく上で、大きなハードルは夫婦別姓が進まないことだ」と指摘。各種世論調査で過半数が賛成していることなどを挙げながら「なぜこんなに当たり前のことが通用しないんだというのが当事者の声だ」と自民党との違いを強調した。

◆外交安保…争点明確に

 外交・安保分野でも、自民党の保守層への意識が鮮明になった。
 自民党は防衛費に関し、公約に「対国内総生産(GDP)比2%以上も念頭に増額を目指す」と明記。今の1%前後からの倍増となり、首相は討論で「数字ありきではない」と説明する一方、2%に達する可能性までは否定せず「大事なのは安全保障環境が大きく変化していることだ。予算ありきで国民の命を守れないことがあってはならない」と語った。他国の領域でミサイルを迎撃する敵基地攻撃能力の保有を巡っても「選択肢の1つとして考える価値はある」と主張した。
 立民、共産、社民、れいわ新選組の野党4党は、集団的自衛権の行使容認など安保関連法の違憲部分廃止を共通政策に盛り込む。枝野氏は「専守防衛の現実的な外交・安保政策を採る」と自民党と一線を引いた。
 野党は衆院選を「国政私物化疑惑にまみれた安倍・菅政権」(共産党の志位和夫委員長)への評価が問われる戦いだと位置付ける。立民は政権交代すれば、森友・加計学園や「桜を見る会」の問題に関する真相解明チームを立ち上げると公約している。
 首相はこの日も一連の問題に関し「必要なら説明を続けていく」と繰り返すばかりで、国政への信頼を損ねた「説明しない政治」への問題意識は乏しかった。2019年参院選の広島選挙区を巡る大型買収事件を巡り、党本部から1億5000万円もの巨額資金が提供された理由の説明を地元県連から求められていることにも「党のガバナンス(統治)の問題」とかわした。

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