<社説>衆院選きょう公示 政権継続の是非を問う

2021年10月19日 07時33分
 衆院選がきょう公示される。就任直後の岸田文雄首相(自民党総裁)率いる「自公」政権を継続させるのか、立憲民主党など現在の野党勢力に政権を託すのか。政権継続の是非を問う選挙となる。
 二〇一七年の前回以来、四年ぶりとなった衆院選は通常、政権選択と位置付けられ、政権与党にとっては実績が問われる選挙だ。
 しかし、議員任期満了直前の解散に踏み切った岸田氏自身は首相としての実績はなく、問われるべきは、狭義では前回衆院選以降の四年間、広義では一二年の政権復帰後、九年近く続いた安倍晋三、菅義偉両首相による政治である。
 安倍・菅政治とはこれまでも再三指摘してきた通り、主権者である国民や、国民の代表で構成する国会を軽視した政治だった。
 疑問や異論には耳を傾けようとせず、丁寧な説明を拒む。政権に異を唱えるものは排除され、政権に近しい者は優遇された。
 政権中枢への過度の権力集中は官僚の忖度(そんたく)を生み、森友・加計両学園の問題や、財務官僚による公文書偽造まで引き起こした。
 「桜を見る会」や、現職閣僚が大臣室で現金を受け取る「政治とカネ」の問題、特定選挙区候補への巨額の資金提供、日本学術会議会員候補の任命拒否なども、真相が解明され、国民に説明が尽くされたとは言い難い。
 菅前内閣の終焉(しゅうえん)とともに迎えた今回の衆院選は、こうした安倍・菅政治を断ち切れるのか否かが、問われる選挙にほかならない。
 岸田氏は当初訴えた「民主主義の危機」を首相就任後は口にしなくなった。安倍・菅政治を転換しようとしているのか疑わしい。
 自民党内での「疑似政権交代」では政治の転換が難しければ、やはり政権交代が必要だろう。
 衆院選では政権選択に加え、分配政策、選択的夫婦別姓、新型コロナウイルス対策など争点は多岐にわたる。投票先を決めている人はもちろん、決めかねている人も各候補、政党の主張や政策を比較して貴重な票を投じてほしい。
 政権交代に至らなくても、与野党勢力が伯仲すれば、政治に緊張感が生まれ、独善的な政権運営は減るだろうが、選挙に行かなければ何も変えられないことは、あらためて確認しておく必要がある。

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