衆院選きょう公示 1票が大きく影響 逆転劇が生まれやすく 松本正生・埼大名誉教授に聞く

2021年10月19日 07時39分
 衆院選は十九日、公示される。二〇〇〇年以降では八回目の実施となるが、県内の議席や有権者の行動はどう推移してきたのか。政治意識に詳しい埼玉大の松本正生(まさお)名誉教授にひもといてもらい、今回の総選挙で注目するポイントを聞いた。(近藤統義)
 「県南部の都市的な顔と県北部の農村的な顔の両方があり、全国の有権者の意識を一般化して測ることができる『日本の縮図』のようだ」。松本さんは埼玉の政治風土をこう捉え、「もともと強固な保守地盤の県ではない」と説明する。
 「手に入る物件が埼玉だったから住んでいるという人が県南部を中心に少なくなく、地域との関わりや旧来の保守的な人間関係が薄いことが背景にある」と松本さん。こうした有権者の特徴から「埼玉では小選挙区制の効果が出やすいとも言える」という。一票でも多ければその選挙区の議席を独占できる勝者総取りの仕組みのため、風向きの変化でオセロのような逆転劇が繰り返されてきた。
 〇〇年、〇三年の選挙は自民党と民主党(当時)の議席数が拮抗(きっこう)したが、郵政解散で沸いた〇五年は十五選挙区のうち自民が十二勝。次の〇九年は一転して、政権交代の期待を集めた民主が十四勝した。安倍長期政権の出発点となった一二年は自民が十三勝と巻き返し、そこから三回連続で自民が圧勝している。
 この間、投票率の低さは一貫している。〇九年まで毎回、全国最下位を争うほど。最近は中下位に位置するが、松本さんは「東北など地方の投票率の落ち込みが激しく、相対的に順位が上がっただけ」。一四年、一七年は50%台前半にとどまった。
 県内の選挙区では比較的、投票率が高かった10区(東松山市など)や11区(秩父市など)でも下落基調にある。松本さんは「選挙はかつて住民を動員した地域のお祭りだった。農村部でも地域社会が無縁化してきた表れだ」と説く。

埼玉の政治風土などについて語る松本さん=さいたま市の埼玉大で

 コロナ禍を受けての今回の総選挙。松本さんは「例えば、健康か経済かどちらが大事かと聞かれたら、多くの人は両方と答えるはず。各政党には白か黒かではなく、そのバランスをどうするか示してほしいと有権者は望んでいる」とみる。
 その上で「コロナでこれだけ不満がたまり、人々がやりきれない不安を抱えているにもかかわらず投票率が低ければ、民主主義を支える選挙の正統性が担保されなくなる。選びようがない中でも、少なくとも60%以上の人が参加して結果を残す責任が有権者にもある」と強調する。

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