<社説>選挙戦始まる 有権者の声を届けたい

2021年10月20日 07時40分
 衆院選公示日のきのう、各党首や候補者が第一声を発し、三十一日の投開票日に向けて選挙戦に突入した=写真、東京都新宿区で。どの候補者や政党に託せば、私たちの命が守られ、暮らしはよくなるのか。公約や主張を吟味し、政治に有権者の声を届けたい。
 自民党の岸田文雄総裁(首相)は福島市での第一声で「東日本の復興なくして日本の再生はない」「福島では原発廃炉、ALPS処理水、心のケアなど、やるべきことがたくさんある」と述べた。
 政権復帰した二〇一二年衆院選以降、自民党総裁はすべての国政選挙で、福島県内で第一声を発するか、公示日に演説してきた。
 岸田氏も福島市で第一声を発したことは、東日本大震災や東京電力福島第一原発事故を忘れないとの意思表示なのだろう。
 しかし、岸田氏は原発事故には直接言及せず、自民党は公約に原発の再稼働を掲げている。
 歴代自民党政権が推進した原発の事故で命の危険にさらされ、厳しい暮らしを強いられている人たちに本当に寄り添っているのか。国民の真の声を聞かなければ「民主主義の危機」は脱せまい。
 立憲民主党の枝野幸男代表は松江市での第一声で「国民の皆さん一人一人の懐を温かくする所得の再分配こそが景気を良くする第一歩だ」と訴えた。
 松江市は、自民党最大派閥細田派の会長が立候補している選挙区だ。保守的な地盤が厚い地域に乗り込むことで、政権交代への強い意欲を示す狙いが読み取れる。
 立民などの野党は、二百八十九小選挙区のうち二百十を超える小選挙区で候補者を一本化し、与野党対決の態勢を整えた。選挙戦を通じて政権を託すに足る力量と政策を示さねばなるまい。
 選挙戦では新型コロナウイルス対策や分配による格差是正などの経済政策、選択的夫婦別姓を含む多様性も主要争点になる。九年近くにわたる国民軽視の「安倍・菅政治」も当然問われるべきだ。
 私たち一人一人の力は小さくても、束ねれば大きな力になる。投票所に足を運ぶことこそ、政治を変える原動力にほかならない。

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