ハイチで誘拐急増 米国人ら17人の人質に19億円要求 大統領暗殺、大地震…混乱極まり

2021年10月20日 21時04分

19日、ハイチの首都ポルトープランス近郊で、誘拐された宣教師の解放を訴える人たち=AP

 カリブ海の島国ハイチで米国人ら17人が誘拐され、米メディアは19日、犯行グループが身代金1700万ドル(約19億4000万円)を要求していると伝えた。西半球の最貧国ハイチでは今夏の大統領暗殺と大地震が政情不安と治安悪化に拍車をかけ、18日には大規模なゼネストも発生。社会の混乱が極まっている。(ニューヨーク・杉藤貴浩)
 誘拐事件は16日に発生。首都ポルトープランス近郊の児童養護施設を訪れた米国のキリスト教系支援団体の宣教師ら生後8カ月から48歳の17人が車で移動中にギャングに拉致された。カナダ人も1人含まれる。
 米CNNは19日、ハイチ政府幹部の話として実行グループのギャング「400マオゾ」が人質1人当たり100万ドル、総額1700万ドルを要求していると報じた。米バイデン政権は18日、米連邦捜査局(FBI)が事件解決に乗り出したことを明らかにした。
 経済難が続くハイチは身代金などを目的とした誘拐が世界で最も起きやすい国とされる。地元人権団体の調査では、モイーズ大統領が暗殺された7月に31件だった誘拐事件は、2200人以上が死亡する大地震のあった8月に73件、9月には117件まで急増。未確認の件数はさらに多いとみられ、米紙ワシントン・ポストは「首都では武装した誘拐犯が公然と歩き、警察は人員も装備も不足している」と指摘する。誘拐の大半は国土の一部を実質支配するギャングの勢力下で発生している。
 ハイチではモイーズ氏暗殺の真相解明が進まない中、9月に予定されていた大統領選が11月に延期され、現在は実施の見通しも立たなくなっている。
 18日には、ポルトープランスで壊滅的な治安状況や燃料不足に抗議するストライキが発生。多くの商店や学校、公共交通機関が閉鎖された。AP通信によると、一部の抗議デモは首相宅付近で警官隊と衝突。参加者は「政府は国民に安全を与えるよう行動を起こさなければならない」と要求した。

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