80代による80代のためのラジオ番組 長寿時代の生き方 共に考える

2021年10月21日 07時06分

グランド・シニア・サロンのスタッフ。前列左が小林さん、同右が寒河江さん=横浜市で

 八十歳を超えた著名人をゲストに迎え、人生百年時代の生き方を考えるラジオ番組「Grand Senior Salon(グランド・シニア・サロン)」が、今夏からFMヨコハマで始まった。パーソナリティーは、二十四日に米寿を迎える元毎日放送(大阪市)アナウンサーの小林昌彦さん(87)。円熟した話術で、同世代の多彩なゲストから人生の示唆に富む話を引き出している。 (井上幸一)

◆DJは米寿の元アナ 同世代ゲストに

FMヨコハマのスタジオで、マイクに向かう小林昌彦さん

 「今や、八十歳を超える人が全国で千百万人もいるんです。人生百年の時代です」
 初回(八月三日)の放送で、小林さんは開口一番強調した。ゲストは、同い年の早稲田大名誉教授、木村利人(りひと)さん(87)。生命倫理学のパイオニアで、坂本九が歌ってヒットした「幸せなら手をたたこう」の作詞者でもある。
 歌にちなんで小林さんが「幸せってなんでしょう。単に元気で長生きすることではないですよね?」と問いかけると、木村さんは「ないですね。主人公は自分だというテーマを歌に込めてある。それが幸せの基本」と、人生を主体的に生きる大切さを説いた。
 八月は落語家の三遊亭遊三(ゆうざ)さん(83)も登場。「運動は日常生活。寄席はリハビリ」などと、しゃれっ気たっぷりに話した。
 九月に出演した評論家の樋口恵子さん(89)は、高齢化社会のメリットを強調。「誰もが弱者として老いを体験して生きる。これはとても良い社会で、思いやりのある社会。さまざまな障害を理由に、他者を排除する社会と反対の社会」などと語った。
 番組を立ち上げたのは、やはり同世代のフリーのプロデューサーの寒河江(さかえ)正さん(88)。旧知の小林さんに新番組について相談したところ、「グランド・シニア・サロン」の案が出てきたという。
 小林さんは東京都千代田区出身。アナウンサーとして毎日放送に入社、米ニューヨーク・ワシントン特派員を経験し、帰国後、関西の財界人にインタビューする番組のキャスターを務めた。父親の貸しビル会社を継ぐため、四十代前半で早期退社。作家、フリージャーナリストとして活動を始め、歴史小説の「じゃぽん奴隷異聞」(文芸社)、恋愛小説の「新浅草物語」(百年書房)などを著した。
 今回の番組の意図について小林さんは「お医者さんの力や科学で寿命は延びているが、どう過ごすかは誰も教えてくれない。そんなとき、人の生き方って、参考になるでしょ。老人のために、老人が作る番組」と語る。
 ニュースキャスター時代以来、約五十年ぶりのレギュラー番組だが、「実は、趣味で落語をやっているので発声練習はできていた。スムーズに入れた」と笑う。
 放送時間は、毎週火曜日の午前五時十五分から三十分間で、早朝のため事前収録する。高齢のゲストには電話でインタビューしている。
 「明日という日は、誰も経験していない。それは、若い人も高齢者も一緒でしょ。違う散歩道を歩くだけでも発見がある。どんどん新しいことに挑戦しようと、年寄りにエールを送りたいね」と意気込む小林さん。
 「声が出なくなったら誰かと交代するけれど、やれるだけ番組を続けたい」と自身にも気合を入れた。

◆今後のゲスト予定

 敬称略、年齢は放送日
【10月26日】
三浦雄一郎(プロスキーヤー)=写真(左)、ミウラ・ドルフィンズ提供、89歳
【11月2、9日】
黒沼ユリ子(バイオリニスト)=同(中)、81歳
【11月16日】
東海林のり子(芸能リポーター)=同(右)、87歳

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