外国人高齢者が増加 介護が課題  福祉の考え方に差/複雑な制度 やさしい日本語で発信を

2021年10月21日 07時06分
 65歳以上の高齢者が総人口の29.1%を占める日本で、在留外国人高齢者の介護も課題になってきた。出入国在留管理庁のまとめで、1990年に7万人だった65歳以上の在留外国人は2020年には18万8000人に。言葉や文化の異なる日本で、老いを迎える外国人をいかに支えるか、模索が始まっている。
 昨年6月末時点で在留外国人数が東京都に次ぎ2位の愛知県は昨年、外国人高齢者の介護に関する全国初の実態調査を行った。
 調査では外国人高齢者に対応する介護施設や医療機関、支援団体にヒアリング。愛知県高齢者生活協同組合の山崎亜土常任理事はブラジル人が多く住む豊田市保見ケ丘で訪問介護を行う中で、「言葉に加え、福祉、介護への考え方が異なる外国人高齢者に、複雑な介護保険制度の仕組みを伝える難しさを感じている」。
 中国人の利用者もいるデイサービス「ノア」(名古屋市)を運営する馬照哲さんは「文化の違いなどで戸惑うことなく支援できるよう、スタッフにも丁寧な情報提供が必要だ」と話す。
 県内の地域包括支援センターにアンケートも実施。230カ所が回答し、18〜19年度に外国人高齢者や家族らから相談を受けた割合は45%に上った。
 調査を委託された「外国人高齢者と介護の橋渡しプロジェクトチーム」代表の王栄さんは「年を取ると覚えた日本語を忘れたり、母国の食を求めるようになったりする。多言語対応・多文化共生型の施設や人材育成について本格的に考えなければいけない」。
 神奈川県では、中国残留邦人帰国者家族らを支援する「ユッカの会」(中和子代表)と県社会福祉協議会の協働事業で「多文化高齢社会ネットかながわ(TKNK)」が結成され、今年9月にキックオフシンポジウムが開かれた。3年間で現状把握を行い、文化、言語の多様性に配慮したシステムづくりを目指す。
 中さんは「外国人高齢者の介護について考え、やさしい日本語で分かりやすく発信することは、日本人が抱える介護の課題解決にもつながるはず」と話した。

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