まずは経済成長か、所得再分配か 各党が現金給付を競うも財源は…<公約点検>

2021年10月21日 13時28分
 新型コロナウイルスの感染拡大で疲弊した国民生活の立て直しに向け、各党は衆院選で現金給付や減税策を目玉政策として並べて「分配重視」を打ち出す半面、経済の規模を大きくする成長戦略の具体策をほとんど示していない。岸田文雄首相が「成長と分配の好循環」を掲げるのに対し、立憲民主党の枝野幸男代表が「分配なくして成長なし」と訴えるなど、成長優先か、まずは分配かの論戦が行われている。
 首相は「経済をまず大きくし、その成長の果実を所得、給与という形で分配していく。そして、皆さんに思い切ってお金を使ってもらうことがまた次の成長につながっていく」と主張。成長を実現した後、次の成長につなげるための分配の重要性を強調する。
 安倍、菅両政権で9年近く続いてきた経済政策「アベノミクス」は「大企業を成長させれば、賃金上昇などの恩恵が家計にも及ぶ」という青写真を描いた。だが、経済成長や国民への恩恵は限定的で格差拡大は是正されなかった。
 自民党は「『新しい資本主義』で分厚い中間層を再構築する」と公約。科学技術分野や脱炭素の実現などで成長戦略を進めつつ、賃上げする企業を税制で支援することで分配を促して好循環を目指す。
 立民の枝野氏は、アベノミクスで潤ったのは大企業だけだと批判。「格差を縮小して貧困をなくし、1億総中流社会を復活させる。国民の懐を温かくする所得の再分配こそが景気を良くする第一歩だ」と訴える。
 大企業や富裕層への課税を強化し、年収1000万円程度の人まで所得税を時限的に実質免除。消費税を時限的に5%へ引き下げて消費を喚起する方針を掲げる。
 公明党は18歳以下の全ての子どもに1人当たり10万円相当を支給する「未来応援給付」を提唱。共産党はコロナで減収となった家計の支援に、1人10万円を基本に「暮らし応援給付金」を出す。日本維新の会は生活に必要な最低限の金額を一律に給付する「ベーシックインカム」の導入を主張する。国民民主党やれいわ新選組、社民党は現金給付を盛り込んだ。
 与野党が現金給付を競い合う中で、その財源は明確に示せていない。各党は国債を発行して資金を捻出するが、借金が増える一方で税収増につながる具体的な経済政策は描けていない。 (桐山純平)
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 投票の際の参考となるように、各党の衆院選公約を重要政策ごとに点検します。

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