芝翫「初心に立ち返って」 国立劇場11月歌舞伎

2021年10月22日 07時33分

「一谷嫩軍記」公演に向け、演じる役のパネルと写真に納まる中村芝翫(左)、中村鴈治郎

 東京・国立劇場の十一月歌舞伎公演は、武家社会を題材にした「時代物」の名作で、「平家物語」がベースの「一谷嫩軍記(いちのたにふたばぐんき)」。全五段の大作のため、「御影浜(みかげはま)浜辺の場」と人気の「生田森熊谷(いくたのもりくまがい)陣屋の場」の二幕を上演する。主人公の源氏の武将・熊谷次郎直実(なおざね)は、中村芝翫(しかん)(56)が演じる。
 熊谷は、一の谷の合戦で平家の若武者平敦盛(たいらのあつもり)を討った。だが、実は「敦盛の命を助けよ」との源義経の密命を受け、わが子小次郎を敦盛の身代わりにして殺害し…。戦(いくさ)の世の無常、人の命のはかなさなどを描く。
 「熊谷陣屋」の演出は、熊谷の内面描写を重視する「団十郎型」、団十郎型に比べて派手な「芝翫型」がある。本公演は芝翫がゆかりの芝翫型で演じる。
 八代目襲名時(二〇一六年)を含め、何度も演じてきた熊谷。芝翫は「大きな舞台で熊谷をやらせていただけることに感謝したい。数やっていることにあぐらをかくのではなく、初心に立ち返って演じたい」と意欲を示した。
 小次郎を供養するための石塔建立を頼まれる白毫(びゃくごう)の弥陀六(みだろく)(実は弥平兵衛宗清(やひょうびょうえむねきよ))を初役で演じる中村鴈治郎(がんじろう)は「人間の性根を含めてきっちり演じられたら」と話した。
 公演は十一月二〜二十五日(十、十八日は休演)。出演はほかに中村錦之助、片岡孝太郎ら。国立劇場チケットセンター=(電)0570・079900。 (山岸利行)

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