<この声を 衆院選>若者の経済的困窮 学びに影響「悲しい」

2021年10月22日 08時29分

支援食料のみそなどを受け取る学生たち=坂戸市の女子栄養大坂戸キャンパスで

 今月十二、十三の両日、女子栄養大の坂戸キャンパス(坂戸市)ではコロナ禍で生活が苦しくなった学生に食料品が配られた。乾麺うどんや缶詰、みそ…。今回が二回目の取り組みで、近隣の食品会社や県農業大学校などが協力。同キャンパスの在学生の六分の一に当たる三百五十人が列をつくった。
 「大いに助かっています」。保健栄養学科四年の高木梓沙さんは食料品が入った袋を抱えて感謝した。以前は生活費をアルバイトで賄っていたが、コロナ禍の影響もあって仕事が減り、生活に余裕はない。少しでも食費を節約しようと前回の七月に続いて利用した。
 親元を離れて暮らす学生も多く、周囲には親の仕送りが減り、休学や退学を余儀なくされた学生もいたという。個人の力だけでは解決が難しい問題に直面する若者は多く、衆院選に当たっては各党が教育の重要性を強調しているが、高木さんは「経済情勢によって学習機会が奪われるのは悲しいこと」と同世代を取り巻く目の前の状況を憂う。
 同じく二回目の利用となった実践栄養学科一年の江上奈緒さんは、「去年は定額給付金があったが、裕福な人は貯金に回すだけで経済効果は小さいと思う」と指摘。「本当に困っている人を見極めて手厚くしてほしい」ときめ細かい対応を求める。
 厚生労働省の二〇一九年国民生活基礎調査によると、中間的な所得の半分に満たない家庭で暮らす十八歳未満の割合「子どもの貧困率」は、一八年時点で13・5%だった。前回一五年の13・9%から大きな改善は見られず、七人に一人が貧困状態にある。さらにコロナ禍が追い打ちをかけ、経済的困窮は大学生を含む若者全体にじわりと広がっている。
 さいたま市桜区で地域住民らが運営する「無料塾ひこざ」。経済的な問題などを抱える子どもたちに学びの場を提供しようと、一五年二月に開設した。現在は小学四年〜中学三年の約十五人を対象に、週二回の夕方、近くにある埼玉大のボランティアサークル「ひこざらす。」の学生たちが、ほぼマンツーマンで勉強を手助けする。
 家庭収入などの入塾条件を設けておらず、利用者は経済状況が厳しい家庭の子どもだけではないが、余裕がない家庭の子どももいる。「ひこざ」の森本智子事務局長・理事(64)は「親は共働き。(緊急事態宣言下の)休校の期間、行き場を失ってしまう子がいたのも事実」と明かす。
 教える側の学生たちが通う埼玉大でも六月、コロナ禍でアルバイトが十分にできないなど、経済的に困っている学生を支援するため、学食の無料提供が行われた。
 「ひこざらす。」の伏本航(わたる)副代表(20)=同大理学部三年=は、きっぱりとした口調で言う。「候補者の会員制交流サイト(SNS)やユーチューブで政策や公約を比較し、投票には必ず行きたい」(武藤康弘)
衆院選2021
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