<各駅停車>虐待事件のその後

2019年8月11日 02時00分
 厚生労働省によると、家庭内で虐待を受けるなどして、児童養護施設に保護される子どもたちは、全国で約三万人。原則十八歳で退所した後は、一人で生きていくことになる。電車やバスの乗り方さえ教えられる機会が乏しく、いざ一人暮らしを始めると、とまどうことが多いという。
 施設には自分より幼い子どもたちがいて、職員の忙しさを誰よりも理解している。家族代わりだった職員にも本当の家族にも頼りづらい。そんな彼らを社会の大人が支えていこうと、施設出身者が集える家「クローバーハウス」がさいたま市浦和区にできた。
 施設長のブローハン聡さん(27)は、地域交流を深めたいと話してくれた。「虐待事件は発覚時にニュースになるけれど、その後は忘れ去られてしまう。施設を出た若者の多くが、人とのつながりを必要としていることを知ってもらいたい」。ハウスを地域に開放し、地元住民から「元気か」と声を掛けてもらえるような日常を、思い描いている。 (浅野有紀)

関連キーワード

PR情報