死刑求刑の元看護師「死んで償いたい」裁判長「主文後回しに」と予告 旧大口病院の3人点滴中毒死

2021年10月22日 12時10分
久保木愛弓被告

久保木愛弓被告

 横浜市の旧大口病院(現横浜はじめ病院・休診中)で2016年9月に起きた点滴連続中毒死事件で、入院患者3人を殺害した罪などに問われた元看護師久保木愛弓被告(34)の裁判員裁判の論告求刑公判が22日、横浜地裁(家令和典裁判長)で開かれ、検察側は「被害者に落ち度はなく動機は身勝手で酌量の余地はない」として、死刑を求刑した。判決は11月9日に言い渡される。
 最終陳述で証言台に立った久保木被告は「深く反省しています。裁判では遺族にお詫びできればと考え、お詫びの気持ちを伝えました。許してもらえないことをしたと思っています。死んで償いたいと思っています」と謝罪した。弁護側は犯行当時、統合失調症の影響で心神耗弱だったとして「無期懲役」を主張した。
 裁判長は、どのような判決になっても「主文は後回しにする」と予告した。一般的に主文を後回しにするのは、被告人を動揺させずに判決理由をじっくり聞かせる狙いがあるとされる。
 争点は責任能力の程度。これまでの公判で、検察側は「犯行当時は自閉スペクトラム症(ASD)だったが、動機形成の遠因で、直接の影響はない」として、完全責任能力があったと主張。弁護側は「うつ病を発症していて、統合失調症の前兆症状だった可能性がある」と指摘し、心神耗弱状態だったとして刑を軽くするよう求めている。
 病院では終末期患者を多く受け入れていた。被告は公判で「勤務中に患者が亡くなるのを避けたかった。患者の家族から責められるのが怖かった」と動機について供述している。
 起訴状によると、久保木被告は2016年9月15~19日ごろ、いずれも入院患者の興津朝江さん=当時(78)=と西川惣蔵さん=同(88)、八巻信雄さん=同(88)=の点滴に消毒液を混入して同16~20日ごろに殺害し、さらに殺害目的で同18~19日ごろ、点滴袋5個に消毒液を入れたとされる。

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