東南アジア各国が入国緩和へ コロナ再燃と隣り合わせも タイは46カ国・地域受け入れ

2021年10月22日 19時13分
タイ・バンコクの観光客のいない旧市街の寺院前で14日、暇をもてあます三輪タクシー「トゥクトゥク」の運転手=岩崎健太朗撮影

タイ・バンコクの観光客のいない旧市街の寺院前で14日、暇をもてあます三輪タクシー「トゥクトゥク」の運転手=岩崎健太朗撮影

 【バンコク=岩崎健太朗】新型コロナウイルスのワクチン接種などが遅れていた東南アジアの国々が、入国制限の緩和にかじを切り始めている。経済回復を優先させる方向で、タイ政府は21日、11月1日から入国時の隔離なしの受け入れ対象国に日本を含む46カ国・地域を発表した。だが、感染拡大の再燃も隣り合わせで、国内では不安視する声も出ている。
 タイはワクチン接種率が上向き、感染は抑えられていると判断。入国時の検疫隔離は観光や出張目的の訪問の足かせとなっており、対象国には撤廃に踏み切る。ワクチン接種済みなどを条件に、PCR検査を経て自由な国内移動を認める。

◆観光客呼び込み経済活性化を

 当初は10カ国としていたが、プラユット首相は「時機を逸すれば、観光客は他国に流れる。多くを呼び込み、経済を活性化させなければならない」と一気に拡大。2019年に4000万人に上った海外からの旅行者は昨年は670万人、今年は8月までで7万4000人と落ち込み、危機感が強い。「開国」に合わせ、7月から続けていた夜間外出禁止令も解除する。
 ただ、これまで後手に回ってきた政府のコロナ対策に国民の信頼は低く、半信半疑だ。大学が実施した世論調査では、約6割が「開国は時期尚早」と回答。首都バンコクはワクチン接種率が70%を超えたが、全国的には4割に満たず、感染増加がみられる地域もある。バンコクの旅行業コチャコンさん(31)は本業を休業し、物販でしのいでいるが「急な開国には反対」という。「政府が万全な受け入れ態勢を整えたのか疑問だ。改善途上で再拡大し、鎖国に逆戻りすればもう手が付けられない」と冷めた見方をした。

◆シンガポール隔離なし バリ島では国際線再開

 ワクチン接種率が8割を超えたシンガポールは9月以降、欧米など10カ国を隔離なしで受け入れ、対象国を拡大する方針だ。新規感染者が過去最多を更新しているが98%が無症状か軽症で、政府は「ワクチンを接種すればコロナは普通の病気になり、共存できる」と強調。ただ、20日に国内の行動制限の1カ月延長を決めるなど慎重に状況を見極めている。
 昨年4月から原則入国禁止措置を取っているインドネシアも、リゾートのバリ島で14日から欧米や日本など19カ国の国際線受け入れを再開。ただ、指定ホテルでの5日間の入国隔離が義務付けられたままなど依然としてハードルは高く、政府のどっちつかずの方針に観光業者らからは不満も出ている。

関連キーワード


おすすめ情報