中国・西寧市でモスクが次々と「中国風」に改造 「反対したら捕まる」宗教でも統制強化

2021年10月22日 21時23分

タマネギ形のドームや尖塔が撤去された東関清真寺=いずれも10月上旬、青海省西寧市で

 中国青海省西寧市で、イスラム教徒の少数民族・回族が集まる多数のモスク(イスラム教礼拝所)で、イスラム教の建築様式であるドームや尖塔せんとうを壊し、中国風に改造する作業が進んでいる。習近平政権は「宗教の中国化」政策の一環として、当局に従順とされる回族にも統制を強めている。(西寧市で、中沢穣、写真も)
 回族の風習である白い帽子をかぶった男性や、頭髪を布で隠した女性の姿が目立つ同市城東区。青海省最大のモスクである東関清真寺は、工事用のフェンスに囲まれていた。緑色のドームは屋根から約20メートルの高さがあったはずだが、すでに撤去されたもようだ。尖塔もない。
 別のモスク、富強巷清真寺では正門前に大型クレーン車が居座り、ドームや尖塔があったはずのモスクの建物上部には中国風の屋根が設置されていた。回族の女性は「彼ら(当局)は外国風の建築が気に入らないようだ。今の様子はもちろん悲しいが、政治の問題なのだろう。どうしようもない」と話した。

モスク上部に「中国風」の屋根が設置された富強巷清真寺

 今月上旬に訪れた同区内のモスク10カ所は、ドームなどの撤去と中国風屋根への改築の工事中か、すでに撤去や改築を終えていた。ネット上に流出した同区当局の内部資料とみられる「アラブ式モスク改築案」は現地の状況と符合する。昨年5月作成の改築案によると、同区内の「アラブ式」モスク19カ所のうち、昨年に10カ所、今年に9カ所の改築を行う。費用は計約2689万元(約4億6000万円)をかける。
 一方、反対を訴える信者の動きなどはほとんど伝えられていない。回族の男性に尋ねると、「モスクの指導者が受け入れた以上、何もできない。反対したら捕まる。わかるだろう」と声をひそめた。モスクの「中国風」への改造は、同じく回族の多い寧夏回族自治区などでも進んでいるようだ。

タマネギ形のドームの撤去作業が行われている南関清真寺

 訪れたモスクの大半は、新型コロナウイルス対策を理由に信者も入れない状況だった。複数のモスク周辺で、8月上旬から礼拝を中止する張り紙があった。東関清真寺では、多くの人が礼拝に訪れる金曜日には路上にあふれ出すほどの人が集まっていたというが、回族の男性は「今は中に入れてもらえない。礼拝は家でやるしかない」と嘆いた。
 同省ではコロナの流行がほぼ抑え込まれ、観光施設や学校などはおおむね正常化している。改築への反対を抑え込むために、コロナ対策が統制強化の口実となっているとみられる。
 新疆ウイグル自治区の少数民族ウイグル族と異なり、回族は長年にわたって当局と良好な関係を保ってきた。しかし、習政権はモスクをテロの温床とみなし、回族に対しても警戒を怠らない。「宗教の中国化」をスローガンに掲げ、歴史的な建築物も画一的な「中国風」に染め上げつつある。

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