<あぶくま便り>(16)里の恵み輝く「ソレイユ」

2021年10月23日 07時52分

食品加工施設を開業した大原陽子さん=福島県二本松市で

 二本松市東和地区に移住して五年目、念願の食品加工施設を九月に開業したのは、料理人の大原陽子さん(53)です。
 フランスや東京都内のホテルで修業してソムリエの資格を取り、オーガニックフレンチレストランを都内で経営していました。
 料理人としての腕を磨いていたときに東京で東日本大震災と東京電力福島第一原発事故に遭い、「電気が福島から送られていたことを知った。復興の手助けをしたい」と仕事の合間に何度も福島県内各地に通い、炊き出しやボランティア活動をするなかで東和地区の地域おこし協力隊員となりました。
 「東和地区は有機農家や移住者が多く、野菜や果物の素材を生かして何かをしたいと考えるようになりました」
 「道の駅ふくしま東和」を拠点に商品開発やランチの提供を進め、料理教室も積極的に開催してきました。三年間の地域おこし協力隊活動を終え、結婚をきっかけに、料理人として加工施設を開く夢をふくらませてきました。
 「東京では献立があっての料理でしたが、ここでは畑があって何をつくるか、に変わりました。里山の旬をきちんと大事にしたい」
 私の完熟トマトやジャガイモも加工用に使っています。地元の有機農家とつながって、規格外の野菜や果物でも無駄にしないことが農家に喜ばれ、食料自給率を上げることにもつながると言います。
 十月はリンゴ農家の「紅玉」を使ったジャムづくりです。瓶詰、洋菓子、総菜加工の許可をとりました。百年以上前の蔵を改装し、桐(きり)たんすを食器棚に活用。温かみのある加工施設「ソレイユ」は、陽子さんの名前からとった輝く太陽というフランス語です。
 「都会に住むみなさんにも里山の恵みを届けていきたい」と笑みがこぼれます。
 里が輝き、人が輝く「ソレイユ」にどうぞお越しください。
 (菅野正寿 農家。福島県二本松市東和地区で農産加工と農家民宿を主宰)

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