<社説>衆院選 脱炭素への道筋 再エネ増強の具体策を

2021年10月23日 08時01分
 台風、豪雨、干ばつ…と、温暖化が引き起こす気象災害の影響は、国内外で年々顕著になっている。「気候危機」はもはや、目の前の過酷な現実だ。温室効果ガス削減目標の引き上げを急ぐ国連の求めに応じ、当時の菅義偉首相は昨年十月に「二〇五〇年温室効果ガス排出実質ゼロ」、今年四月には「三〇年度に一三年度比46%削減。さらに50%の高みを目指す」と国際社会に宣言した。
 与野党ともに、その方針に否やはない。問題はそこに至る道筋と手法、とりわけ、発電段階では二酸化炭素(CO2)を排出しないとされる原発の位置付けだ。
 自民党は福島第一原発の事故以来「原発への依存度を減らす」としながらも、電力の安定供給のためにと再稼働には積極的で、新増設にも含みを残す。
 福島の原発事故は、地球温暖化とはまた違う次元の種類の怖さを内外に見せつけた。うち続く東京電力の不祥事が、不安を増幅させている。使用済み核燃料を繰り返し利用する核燃料サイクルは破綻した。再稼働が進めば増え続けることになる核のごみの行き場は決まっていない。このような状態のまま、再稼働や新増設を進めると主張するなら、国民の納得を得るだけの説明が必要だ。温暖化対策を原発回帰の口実にしてはならない。
 野党側の多くが、実現の時期には温度差はあるものの、「脱原発」を掲げており、立憲民主、共産、社民、れいわの四党は「原発のない脱炭素社会の追求」を共通政策に据えている。
 立憲民主は「一日も早く」とするだけで、具体的な期限を示していない。共産は三〇年までに、社民は基本法施行後五年以内に「原発ゼロ」を、れいわは即時禁止を訴える。国民民主は四十年廃炉ルールを徹底しつつ、当面は原発を利用するという。
 再生可能エネルギーが脱炭素化の切り札であることは間違いない。与野党ともに推進していく方針だ。とは言うものの、国内の電源構成に占める再エネ比率は約二割にすぎず、欧州の国々に比べ、相当立ち遅れた感もある。現状のままでは電力不足の不安も残る。
 各党とも、法整備や集中投資など、増強への具体的で現実的な道筋こそ示すべきである。

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