旧民主 因縁の師弟対決 衆院選とうきょう・注目区ルポ

2021年10月24日 07時30分
<東京18区 武蔵野・府中・小金井市>

街頭で候補者とグータッチをする有権者=小金井市で

 「政治家として一回死んだつもりでゼロからやり直そうと選挙区(21区)を返上し、18区にやってまいりました」。七期目を目指す自民の長島昭久さんは公示日の十九日、JR武蔵小金井駅前で訴えた。
 旧民主党で21区(立川市など)を地盤としてきたが二〇一七年、旧民進党が共産党との共闘を強めたことを批判し、離党。同年の衆院選では希望の党から出馬して当選。その後、自民党に入党し、18区への「国替え」で挑むことになった。
 同区は、立憲民主党最高顧問の元首相、菅直人さん(75)のお膝元。長島さんは〇三年に21区で初当選するまで、菅さんと妻の伸子さん(76)から支援者を紹介されたり、選挙ノウハウの手ほどきを受けたりし「今でもご恩は忘れていない」。菅さんと「土菅(どかん)戦争」と呼ばれる激戦を繰り広げてきた土屋正忠元衆院議員(79)の後継に自身が選ばれた時は「思わず天を仰いだ」。
 因縁の師弟対決について菅さんは、長島さんから謝罪がなかったことや長島さんの妻から伸子さん宛てにおわびの手紙が届いたことを明かす程度で、沈黙を守ってきた。しかし、公示の前日、武蔵野青年会議所などが開いた二人の公開討論会でひょう変した。
 冒頭から「なぜ18区に移ったのか。選挙区を決めるのは党かもしれないが、21区の有権者は怒っている。迷惑を掛けた人に謝るべきだ」「育ててもらった有権者への冒涜(ぼうとく)だ」と畳みかけた。司会者の制止を振り切っての批判に、長島さんは「ひどい。元首相としてリスペクトしてきたのに…」と漏らした。
 菅さんは十九日の三鷹駅前での第一声では、エネルギー政策などの持論を披露するのみで長島さんには言及しなかった。応援演説に立った保坂展人世田谷区長(65)が「世話になった人にきちんと礼をもってお返しするのが常識。それをひっくり返した点で、この18区は注目区だ」と代弁した。
 二人の遺恨試合は、与野党対決の主戦場でもある。長島陣営は先の武蔵野市長選で自公が推した新人が菅さん応援の現職にダブルスコアで敗れたことに危機感を抱き「リベラル票は脅威だ。中間層を取り込まないと勝機はない」と連日、甘利明幹事長ら大物弁士を招いている。
 無所属の子安正美さんは街頭演説で「国民目線の政治」や「安全・安価な食材の提供」を訴えている。(花井勝規、佐々木香理)

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