注目の一点(下) 円山応挙《雪柳狗子図》

2021年10月24日 07時18分

円山応挙《雪柳狗子図》(部分) 1778年 個人蔵=26日からの展示

 雪の中を転げ回る三匹の子犬。やんちゃな動きとにっこり笑ったような顔がたまらない。応挙は徹底的に子犬を観察して、その愛らしさを凝縮したような表現を生み出したが、ポイントは目だ。どの犬もちらっと白目がのぞく黒目がちな目をしている。しかし実際には、犬の白目は構造上ほとんど見えない。敵に視線を悟られないためといわれ、逆に人間はアイコンタクトをするために白目が発達したのだという。つまり、目だけは実物を離れて、あえて人のように描いたのだ。
 応挙が表情豊かな人のような目をした子犬を描いたのは、江戸時代の人々が動物も人と同じ心を持っているとごく当たり前に思っていたからだ。一方、動物は人とは全く異なる存在だと捉えてきたヨーロッパの人々にとって、動物も人と同じように表情で感情表現するということは、十九世紀の科学的な発見だった。この事実を知ったブリトン・リヴィエールというイギリスの画家が人のような表情のかわいい子犬の絵を描き、人気になった。応挙の子犬より百年も後のことだ。(府中市美術館学芸員・音ゆみ子)=おわり
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 「動物の絵 日本とヨーロッパ」(東京新聞など主催)は、11月28日まで、府中市美術館で開催中。詳細は公式HPで。

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