<各駅停車>四合瓶を大きく

2021年10月24日 08時03分
 衆院選真っ最中だ。五月のさいたま市長選より一つ一つの選挙区のエリアが狭く、候補者は多い。つくづく変な仕組みだと思うが、候補者の生の姿には触れやすい。ぜひ一度、誰のでもいいので演説を聴いてほしい。
 ある陣営の重鎮が「今の人は有能で、話もうまい。ただ、器が伴っていない。両輪あっての政治家だ」と嘆くのを聞いた。地方議員として多くの人材を育てた人物の指摘は重い。酒豪らしく「いくら努力しても四合瓶に一升の酒は入らない」と例えた。知識や実務能力を詰め込んでも、政治家として、人に寄り添い心を動かす「人間学」が足りない、ということだ。確かに今どきの政治家は演説もよどみなく時間内にぴったり終わるが、印象に残らない。訥弁(とつべん)でも、これだけは訴えたい、と心をつかむ候補者が昔はいた気がするのだが。
 瓶を広げるのに必要なのは経験だろうか。重鎮も「教えても難しい」と語る。本人や陣営の努力にゆだねるだけでなく、有権者も遠慮なく注文をつけてみよう。選挙はそのいい機会なんだから。(前田朋子)

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