「若者の声すくう多様性ある国会に」 動き出す「Z世代」、気候変動問題で声 

2021年10月25日 06時00分

プラカードを手に思いを語る「Fridays For Future Tokyo」の黒部睦さん=東京都立川市で

<民主主義のあした>
 新型コロナウイルスの対応などで相次いだのが、政治家が国民に十分な説明もせず政策を進め、国民の信頼を失ったケースだ。選挙での投票率が低い若い世代の声が、高齢者ほど国政に反映されない傾向も指摘される。どちらも政治家と国民との意思疎通という大切な問題だ。どうすれば本来の姿に戻せるのか。答えは市民活動の現場にあるのではないか-。気候変動問題で政治に声を届ける活動をしている大学生に、この民主主義の危機を乗り越えるヒントを聞いた。

スウェーデンで衝撃

 2年前、研修で訪れたスウェーデン南部の市庁舎前で、大人に交ざって同世代や年下の子たちが気候変動問題の解決を訴える座り込みをする姿を見た。当時高校生だった大学2年の黒部睦さん(20)=東京都東大和市=は衝撃を受けた。「学校を休んで抗議の声を上げている。私も動かなきゃ」
 帰国後、スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)に共感する若者が始めた「Fridays For Future Tokyo」に加わった。国会前で「みんながHAPPYな未来のために」と書いた手作りの段ボール製プラカードを掲げ、政府に対策を求めた。コロナ禍では会員制交流サイト(SNS)やオンラインの催しで発信する。

「若者は努力してきたか」

 政治は、人口が少なく、投票率も低い自分たちの世代の関心や困り事にあまり注目していないと感じる。「でも若者も声を届ける努力をしてきただろうか」。温室効果ガス削減は、日本の将来や、外交に密接に関わる。「若者の政治への関心を高めたい。そのために草の根のムーブメントを広げなくては」と思う。
 活動を始めると、周囲に変化が起きた。友人は環境問題の団体に寄付したといい、別の友人はイベントにも参加した。関心を持ってくれる政治家も増えた。
 一方、感覚が近い20代や女性の議員は、政治の場に少ない。「私たちの声をすくって一緒に取り組む政治家が増えてほしい。国会にも多様性が必要と思う」

若者「社会課題に関心」

 黒部さんら1995年以降に生まれた若者は「Z世代」と呼ばれる。選挙のたびに低投票率が話題になるが、この世代の8割が投票したいと思っているとのデータを、若者調査機関「SHIBUYA109 lab.」が今夏、発表した。長田麻衣所長(30)は「気候変動やジェンダーなどの社会課題に関心が高い人が多い。政党でなく、政治家個人の活動やその背景をみる傾向がある」と話す。
 今年7月に実施した、18~24歳の400人が回答したインターネット調査では、今後の選挙で「必ず投票する」(45.8%)「投票したいがまだ分からない」(32.0%)を合わせて約8割に投票の意向があった。コロナの感染拡大で政治が生活に直結する問題だと気づいたこと、近年、ジェンダーに関する差別的な言動が表面化したことの影響が大きいとみている。
 長田さんは「若者がコミュニケーションを取り、情報を得る中心はSNS。政治家は、選挙の時だけ発信したいことを投稿する掲示板のように使っている人がまだ多いが、日常的にSNSで若者とつながり、活動や思いを届けることが重要だ」と話した。(奥野斐)

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