日本経済低迷の象徴、くらしに直結「賃上げ」競う<公約点検>

2021年10月25日 06時00分
 くらしに直結する賃金の引き上げを巡っては、自民党が経済成長を賃上げにつなげる姿勢を示す一方、立憲民主党など多くの野党は非正規の処遇改善や最低賃金の引き上げをはじめ、より直接的な底上げ策に力点を置く。賃金の安さは日本経済が低迷する象徴でもあり、各党とも公約を強くアピールしている。
 経済協力開発機構(OECD)によると、日本の平均賃金はここ30年ほど、ほぼ横ばいで、2020年の順位はOECD加盟35カ国中22位にとどまる。1位の米国が20年までの30年間で約48%増えたのに対し、日本は約4%増と伸び率の差は歴然だ。安倍政権が始めた経済政策「アベノミクス」は経済成長と賃金上昇の好循環を狙ったが、賃金低迷の流れを変えられなかった。
 自民の公約には、アベノミクスの政策が残る。岸田文雄首相は「成長の果実を給与や所得に分配していく」と述べ、公約に「成長戦略によって労働生産性を向上させ、国民の所得水準を持続的に向上させる」と記載。分配策では、賃上げに積極的な企業の税制支援を続け、企業の利益を従業員に配分するよう促す。
 立民の枝野幸男代表は「一人一人の懐を温かくする」と強調。非正規の賃金を上昇させる「同一価値労働同一賃金」の実現に加え、「労働基本法」(仮称)を定め、望めば正社員として働ける社会を目指すとした。
 公明党や大半の野党は最低賃金の引き上げを明記。公明は「年率3%以上をめどに引き上げ、全国加重平均で1000円超」を目標に掲げた。立民や共産党、れいわ新選組、社民党などの目標は1500円。共産が「中小企業への十分な支援とセット」と記すなど、各党とも経営体力が弱い中小への配慮を組み合わせる。
 国民民主党は賃金上昇率が一定水準に達するまで、積極的な財政支出と金融緩和を続けると唱えた。日本維新の会は、労働移動を活発にさせる規制改革を通じて賃金を上げると訴える。N党は最低限の生活レベルの引き上げなどを掲げる。
 日本で賃金が上がらない理由は、非正規の増加や大手と中小の賃金格差、労働組合の弱さ、生産性の低さなどさまざまな要因があるとの指摘がある。各党がアピールする賃金上昇への道筋は経済成長、底上げ、規制改革など多岐にわたる。(畑間香織)

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