<民なくして>「生理の貧困、女性の問題に終わらせないで」 政治の変化に手応えともどかしさ

2021年10月25日 06時00分

「生理用品を軽減税率の対象に」と記者会見で求める谷口歩実さん(右)=7月、厚生労働省で

 「大学の食堂で、たった3人で始めた活動が社会を動かすなんて」
 生理用品に消費税の軽減税率適用を求める若者グループ「#みんなの生理」の共同代表を務める谷口歩実さん(23)=東京都=は、公共施設や学校で生理用ナプキンの無償配布が広がっていることなど「生理の貧困」の問題の大きな変化を実感している。
 「学生の5人に1人が経済的理由で生理用品の購入に苦労したことがある」。グループが今年3月、国内の高校生・大学生を対象にしたインターネット調査の結果を明らかにすると、新たな社会問題として驚きを持って受け止められた。新型コロナウイルス禍で女性を取り巻く経済状況がより厳しくなったとされる中、これまでタブー視されてあまり語られていなかった生理の問題を表面化させた。
 谷口さんらの問題提起を受け、与野党が「生理の貧困」を国会でたびたび取り上げるようになった。政府は3月にコロナ対策の一環で、生理用品の無償配布など女性支援に取り組むNPO向けの交付金に予備費から13億円を充当した。
 政府は6月、経済財政運営の指針「骨太の方針」に反映する女性政策の目玉に「生理の貧困」対策として女性の健康実態調査を盛り込んだ。今回の衆院選でも各党が対策を訴えている。
 政治に自分たちの思いが伝わり、世の中が動き始めていることに手応えを感じる一方で、もどかしさもある。生理を女性特有の問題とされてしまって「女性の貧困という側面だけで問題が矮小わいしょう化される」ということになりかねないからだ。
 生理用品が入手できない要因は経済的理由に限らない。初潮が分からず親に言えない、父子家庭で父親に買ってと言いづらいなど、教育や家庭など社会が抱えるさまざまな問題と密接につながっている。
 「生理という問題を通してジェンダーや男女の所得格差など、さまざまな問題を解決したい。各候補がどんな文脈で生理を語るのか、深く知りたい」。衆院選で「生理の貧困」の議論がさらに深まり、一人一人が尊重され、みんなが生きやすい社会に近づいてほしいと願っている。

◆「生理の貧困」認識広がる 各党が生理政策を具体化

 経済的な困窮などにより生理用品を買えない「生理の貧困」を巡っては、ほとんどの党が衆院選の公約で対策を打ち出している。
 自民党は、生理の貧困を含め「コロナ下における女性の就業と生活の問題は極めて深刻」と捉え、職業訓練など経済的自立を促す支援を訴える。生理を含む女性特有の体の悩みを技術の力で解決する「フェムテック」振興議員連盟を立ち上げ、政府に開発支援などを提言してきた。
 立憲民主や公明、共産、れいわ新選組、社民の5党は生理用品の無償配布を掲げる。立民とれいわは、経済的理由で困っている女性を対象として、学校などでの支給を盛り込んだ。
 公明は、働く女性の生理休暇の取得推進を提唱し、共産は「恒久的」な無償配布を約束する。社民は生理用品に関して「女性が生きていく上で必要不可欠」として、課税廃止も目指す。
 日本維新の会は、包括的な女性の健康対策として「性と生殖に関する知識を啓発」することで改善を図る。国民民主党は公約に記載していないが、2019年から生理政策を重点的に訴えている。
 生理に関する啓発活動をしている団体「#みんなの生理」は、生理用品にかかる費用が生涯で50万円以上との試算もあると指摘。内閣府によると、今年7月時点で、全国581の自治体が無償配布などを実施し、取り組みが拡大している。(柚木まり)

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