<社説>入国管理政策 議論の先送りできない

2021年10月25日 07時16分
 国際的な人権常識を逸脱した日本の入国管理政策に厳しい目が向けられている。有権者の関心が低い課題だが、人口減少が進む中、社会の維持に外国人との共生は避け難い。議論の活性化が必要だ。
 入管行政で問題視されているのは、難民認定や収容送還制度と外国人労働者の受け入れ態勢だ。
 前者は、今年三月に名古屋入管に収容されていたスリランカ人女性が死亡した事件であらためて注目された。「難民鎖国」と呼ばれる低い難民認定率、全ての退去拒否者を無期限に収容する仕組み、難民の認定や収容の可否を出入国在留管理庁が独占して決めている点などが問題とされてきた。
 後者については、労働法令違反が絶えない外国人技能実習制度が代表格だ。建前と異なり、雇用の調整弁と化している。
 こうした諸制度は国際社会では非常識と見なされている。収容送還制度については、国連機関が再三、日本も批准する国際人権規約などに抵触すると勧告してきた。
 技能実習制度についても米国務省は「人身売買報告書」で「外国人労働者の搾取のために悪用され続けている」と断じ、二〇二〇年には日本の評価ランクを下げた。
 国内ではすでに百七十万人以上の外国人が働き、事実上、移民社会になっている。だが、政府は排外主義的な意見に配慮し、移民政策を正面から論じることを避けてきた。さらに海外からの人権軽視の批判にも背を向けている。
 自民党も野党も公約では「多文化共生」を掲げている。だが、自民党は技能実習制度などの活用促進を掲げている。収容送還問題についても、十二日の参院本会議で岸田文雄首相は「改善策実施の最中」と改革姿勢を見せなかった。
 立憲民主党や共産党などは、収容についての司法の関与や難民認定の第三者機関の設立を提案。技能実習制度についても見直しや廃止を主張している。ただ、永住・定住外国人の地方参政権については、考え方が分かれている。
 コロナ禍による外国人労働者不足で収穫できない農家がある。欧米では移民問題が議論の的だが、日本も先送りすべきではない。その際、忘れてならないのは国際社会の目だ。相手あってのことである。独り善がりは通用しない。

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