目の疾患乗り越えた静産大・栗山さん プロサッカー選手へ ネパールで挑戦

2021年10月25日 08時05分

ネパールでのプロ入りを目指す栗山優也さん(左)とサントス・シャフカラさん=いずれも磐田市で

 静岡産業大(磐田市)4年の栗山優也さん(21)が今月、プロサッカー選手を目指してネパールに飛び立った。目の疾患で一度は挫折しかけたプロの道。1本のペットボトル飲料がきっかけで人生の歯車が変わった。(山中正義)
 「一緒に練習しよう」。九月後半のある日、グラウンドで自主練習していると、ネパール人プロサッカー選手のサントス・シャフカラさん(33)に声をかけられた。ネパール代表歴も豊富なスター選手のシャフカラさんは、なでしこリーグ二部の静岡SSUアスレジーナの三好茜選手(17)=伊東市出身=のコーチも務め、三好選手らと練習に来ていた。
 自主練習を見てもらうようになり、出会ってから三日目。「意志があるなら支援するから一緒にネパールでプロを目指さないか」。シャフカラさんからの思いも寄らない言葉に驚いた。

練習に励む栗山優也さん

 東京都出身で、物心つく前からボールを蹴って遊ぶのが好きだった栗山さん。Jリーグの試合もスタジアムでしばしば観戦した。小学生の頃、大学卒業後の一年目から活躍するゴールキーパーを見て「ルーキーでサポーターの信頼を勝ち得ていく姿にあこがれた」。
 中学時代に都内のクラブチームに入り、本格的に練習を始めた。体は引き締まり、プレーも上達。「自分が変わっていくことが楽しかった」。高校、大学もサッカーで進学先を決め、キーパー一筋でやってきた。
 百人以上が所属する大学の部活ではライバルも多く、試合出場の機会に恵まれなかった。セービングが得意な一方、足元のボールさばきが苦手。課題を克服し、最後の一年にかけるつもりだった。社会人チームの練習にも参加し、思い描いていた日本でのプロ入りの道を歩むはずだった。
 だが、今年初め、ボールが二重、三重に見える異変を感じた。白内障と診断された。プレー中には顔面にボールが当たることもあり、それが原因だったとみられる。手術で治るか、今まで通りプレーできるか。迷ったが、「自分を表現できるのはサッカーしかない。あきらめたら後悔するし、自分にうそをつく人生になる」と手術を決意。成功し、元通りにプレーできるまで回復した。
 そして、シャフカラさんとの出会いが運命を変えた。練習中、水分補給のため何げなくペットボトル飲料をあげたことが、シャフカラさんの心に触れた。「こんなふうにしてくれた日本人は初めて」。栗山さんの選手としての実力だけでなく人間性にひかれた。サッカーを通じた子どもの教育などに取り組む伊東市の認定NPO法人「レアーレ・ワールド」の理事でもあり、団体として栗山さんの支援を決めた。シャフカラさんは「反応が速く、技術は十分」と期待する。
 プロリーグもあるネパールで、栗山さんはプロ選手との練習に参加するなどして、現地チームへの入団を目指す。「子どもたちに夢を与えられる選手になる。全力で取り組めば道は開ける」。固い決意に揺るぎはない。

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