<視点>衆院選で気候変動対策議論を、次世代への責任考えて デジタル編集部・福岡範行

2021年10月25日 13時45分
国会議事堂に向かって温室効果ガス排出削減目標の大幅な引き上げを訴える「学校ストライキ」の参加者たち(手前)。小中学生の姿もあった=2021年4月16日

国会議事堂に向かって温室効果ガス排出削減目標の大幅な引き上げを訴える「学校ストライキ」の参加者たち(手前)。小中学生の姿もあった=2021年4月16日

  • 国会議事堂に向かって温室効果ガス排出削減目標の大幅な引き上げを訴える「学校ストライキ」の参加者たち(手前)。小中学生の姿もあった=2021年4月16日
  • 国会議事堂前での「学校ストライキ」で温室効果ガス排出量の「62%減」を訴える大学生ら=2021年4月16日
 日本が2050年までに温室効果ガス排出を「実質ゼロ」にする目標を掲げてから初めての衆院選を迎えた。目標達成には、二酸化炭素(CO2)換算で年間12億トンに上る温室効果ガス排出量の削減を早く、大幅に加速する必要があるが、具体的な気候変動対策の議論は不十分なままだ。
 原発の是非が注目される発電部門の排出は、現状は全体の約4割。工業、交通、住宅、農業、あらゆる分野で化石燃料依存や大量消費などの仕組みを変えなくては目標達成は厳しい。急な産業構造の転換に伴う雇用などへの悪影響の抑制策も必要だ。30年弱での社会変革へ、国政の切迫感が強まらないと危うい。
 今月末から英国で国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)がある。国連気候変動に関する政府間パネル(IPCC)の報告書によれば、パリ協定の目標達成には、増加傾向が続く世界の温室効果ガス排出量を早期に減らし始め、21世紀後半にはマイナスにする必要がある。まだ見ぬ新技術に期待し経済の仕組みの変革を先送りする余裕はもはやない。
 各国政府の長年の不十分な対応への批判も強まっている。スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥンベリさん(18)は2019年9月、国連「気候行動サミット」で各国の代表者らを前に「若者たちはあなたたちの裏切り行為に気づき始めている」と語った。
 厳しい言葉を使うグレタさんを批判する世界の首脳もいる。中傷もある。22日、日本での上映が始まったドキュメンタリー映画「グレタ ひとりぼっちの挑戦」には、サミット開催地の米国に向けてヨットで大西洋を渡ったグレタさんが、波に揺れる船上で「家が恋しい」「荷が重すぎる」と漏らす姿が映っている。科学者が鳴らし続けた警鐘を国や企業が聞き、十分な対策をしていれば、若者が苦しむ必要などないのに。
 グレタさんの抗議は世界中の若者らに広がった。地球温暖化が続けば、将来の世代ほど、極端な暑さや大雨などにさらされる。温暖化の原因となる人と、悪影響を受ける人が異なる、構造的な不公正さがある。
 日本でも既に温暖化の影響は、猛暑や豪雨の激化に表れている。ホームレスの避難所受け入れ拒否など、格差が被害につながりかねない課題も浮かんだ。今年4月、日本政府に排出削減目標の引き上げを求めた国会前での「学校ストライキ」で、都内の中学生はさらなる災害激化の不安を語り、「大人は『明るい未来が待っている』と言います。なんで、そんなことが言えるんですか」と声を震わせた。
 次世代への大人の責任を果たすため政治家はすぐに実行する具体策を語るべきだ。有権者は一票が次世代の生きる環境を方向づける責任を伴うことも意識してほしい。その選択に将来世代の目が注がれている。

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