原発依存か、それとも決別か 脱炭素化の方向性は各党が共有<公約点検>

2021年10月26日 06時00分
 生活を支える電気の供給体制を方向付ける政策は、経済成長とも密接に関わる。さらに地球温暖化を食い止めるため、石炭などの化石燃料ではなく、太陽光など再生可能エネルギーを軸とした脱炭素化をどのように進めるかは、各政党が共有する重要な課題だ。
 菅義偉前首相は昨年10月に「2050年に二酸化炭素(CO2)を主とする温室効果ガス排出量の実質ゼロ(カーボンニュートラル)」実現を打ち出した。これに向けた道筋で各党に明確な違いがあるのは、政府が脱炭素電源として重要視する「原発」の扱い。東京電力福島第一原発事故から10年半が過ぎ、原発に依存し続けるのか、それとも決別するのかが問われる。
 岸田文雄首相は「電力の安定供給、価格を考えた場合、再生エネ一本足打法では応えられない。他の選択肢も必要で、原発はその1つだ」と主張する。原発の再稼働だけではなく、小型原子炉や研究段階にある核融合炉の実用化に向けた開発推進を掲げる。自民党総裁選で高市早苗政調会長が訴えた政策で、高市カラーが前面に出た。
 自民は産業界が強く求める原発の新増設に踏み込んでいないが、首相は「古い原発を使うのならリプレース(建て替え)の議論をしっかり行った上で方針を決める」と含みを残す。
 立憲民主党の枝野幸男代表は「(自民党と)明確に向かっている方向が違う」と強調し、原発の新増設を認めない。原発に依存しない「自然エネルギー立国」の実現に向け、再生エネの発電比率を30年に50%、50年に100%にする目標を公約に明記した。
 自民党と連立政権を組む公明党も脱原発を明確にし、原発の新設を認めず「将来的なゼロ」を目指す。共産党は「ただちにゼロの決断」をして30年までに原発の発電をゼロにするとした。れいわ新選組は原発を即時禁止し、政府が買い上げて廃炉を進めるという独自政策を打ち出した。
 国民民主党は新増設を否定し、代替電源が確立するまでは原則40年と法律で定めた運転期間を厳守して活用すると主張。社民党は原発ゼロ基本法案の成立を目指し、N党は原発再稼働の検討を政府に求める。
 CO2を大量に排出する石炭火力発電は、原発事故後に原発が停止して依存度が増した。温暖化対策のため先進国では早期の全廃が求められている。30年までにゼロとする目標を掲げたのは、共産、社民、れいわ。自民と公明は脱石炭を明記していない。(小川慎一)

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