衆院選 埼玉の小選挙区の候補者 女性が前回より減少 20%→18%「男女共同参画」進まず

2021年10月26日 07時18分
 三十一日投開票の衆院選で、埼玉県内小選挙区の女性候補が、人数も割合も前回二〇一七年の選挙より減っている。本紙が各政党県組織などにアンケートしたところ、ほとんどの党で女性候補の擁立は低調で、数値目標のない党も多いことが分かった。日本の女性議員の少なさは国際的に際立ち、三年前には各政党に候補者を男女半々とするよう努力を求める「政治分野における男女共同参画推進法」が成立したが、生かされているとは言い難い状況だ。(飯田樹与)

アンケート方法 県内小選挙区と比例北関東ブロックに候補者を擁立した自民、立憲民主、公明、共産、日本維新の会、国民民主、れいわ新選組、社民、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」の9政党の県組織などに用紙を19日の公示前に送付。今回と前回選挙の立候補者数と、そのうち女性の人数▽推進法施行後に女性候補者や議員を増やす取り組みをしてきたか−などを聞いた。

 県内十五の小選挙区には、無所属を含めて四十四人が立候補している。このうち女性は八人(18・2%)で、五十四人のうち十一人(20・4%)が女性だった一七年の前回選挙より人数、割合ともに減少した。比例北関東ブロックは女性候補者の割合が15%と、前回より1・4ポイント上がったものの、人数は三人で変わっていない。
 小選挙区で擁立候補の女性比率50%を達成したのは共産党だけだった。次いで日本維新の会の25%。自民党は全選挙区に候補者を擁立したが、女性は前職一人で、立憲民主党も十一人のうち女性は前職二人にとどまる。比例代表では、社民党は唯一の候補が女性、公明党は四人全員が男性だった。
 アンケートで前回より女性候補者が増えなかった理由を尋ねると「男女に関わらず『出たい人』より『出したい人』の基本理念で最適任者を擁立している」(公明)、「女性の公認申請がなかった」(国民民主党)などの答えがあった。立民やれいわ新選組、「NHKと裁判してる党弁護士法72条違反で」は前回は結党前で比較できないとし、自民は無回答だった。
 女性候補者を擁立するための取り組みは全政党が実施しているとした。自民、公明、社民は「女性対象の政治塾や講座を開いた」、立民、れいわ、N党は「資金面、人的な支援を厚くした」を選択。公明は育休・産休の制度を設けたとし、共産は育休・産休制度や党内の会議で託児所を用意することもあるとした。
 一方、推進法が求める候補者数や割合の目標を設定していたのは、立民(女性比率を三〇年までのできるだけ早期に少なくとも三割超)、共産(50%以上)、社民(50%)のみだった。
 議員や候補者をセクシュアル・ハラスメントなどから守る取り組みについては、N党を除く全ての政党が行っているとし、職員研修や弁護士らによる相談体制の整備などを挙げた。自民は現在実施しているかは明らかにせず「啓発・教育活動のあり方などを検討している」と回答した。
 女性議員を増やす制度への考え方も聞いた。男女の議席数を人口比と同様に半々にする「パリテ」や、議席や候補者の一定数を女性に割り当てる「クオータ制」のいずれにも賛成したのは立民、れいわ、社民、N党で、維新は「数値目標だけ先走ると、不幸なミスマッチが起こる可能性がある」と両方に反対。自民、公明は賛否を明らかにしなかった。

政治分野における男女共同参画推進法 女性議員を増やすことを目指し、2018年5月に施行された。政党に、候補者数を男女均等にするよう促している。今年6月の改正では、所属議員や候補者へのセクハラやマタニティー・ハラスメントの防止や解決へ取り組むことも盛り込まれた。内閣府の資料によると日本の衆院議員の女性割合は9・9%で、190カ国中166位(1月現在)

◆「本気見えぬ」政党に苦言 皆川満寿美・中央学院大准教授(ジェンダー論)

衆院選の女性候補者が少ないことについて「残念だ」と話す皆川准教授=川口市で

 衆院選での女性候補擁立の低調ぶりについて、皆川満寿美・中央学院大准教授(ジェンダー論)は「女性の候補や議員を増やそうという政党の本気が見えない」と苦言を呈する。「意思決定の場に女性の声が必要なことを認識し、環境を整えてほしい」と求めた。
 皆川さんが注目したのは各党の新人候補だ。「日本の選挙では、候補者個人の後援会の意向もあり、現職は次の選挙でそのまま公認される。女性を増やすには、引退や不祥事などで空いたわずかな新人枠に立てるしかない」。ところが、自民も立民も新人の女性候補はゼロ。「いまだに女性では票が集まらないと考えているのでは。しかし、それは正しくない」
 スウェーデンやノルウェーでは1970年代以降、新興の政党が候補者の一定割合を女性にする「クオータ制」を導入。得票が増えて他の政党も続き、議会全体の女性議員比率を押し上げる結果になったという。
 今回の政党アンケートでは「女性の公認申請がなかった」との回答もあった。
 皆川さんは「女性は、家事や育児を担うことがまだ多く、有権者や支援者らからのハラスメント(嫌がらせ)も受けやすいなど、議員になるには男性に比べ、何重にも障壁がある。だからこそ政党の支えが求められている」と指摘。
 「有権者の中にも『政治は男性のもの』という偏見があると思うが、女性がたくさん立候補し、当選する経験を重ねることで解消される。どんな政策を望むかは男女で異なる。男性ばかりで多様性を欠く組織は、自ら変わることも困難だ。女性にとっても、女性でない人にとっても、女性議員が増えることが必要だ」(飯田樹与)

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