<社説>衆院選 周辺国外交 対話基調に安定図れ

2021年10月26日 07時32分
 衆院選では、覇権主義的な行動を強める中国との関係や、ミサイル発射を繰り返す北朝鮮への対応も争点だ。対話を基本とし、平和と安定を実現する明確な外交ビジョンを、各党とも示すべきだ。
 日中関係は、安倍晋三政権下で改善の兆しが見えたが、近年では再び冷え込んでいる。中国が沖縄県・尖閣諸島周辺海域での挑発行為をエスカレートさせていることなどが主な理由である。
 各党は公約に「領域警備と海上保安庁の体制を強化する」(立憲民主)「中国公船の活動は国際法違反。一方的な現状変更の試みは認めない」(公明)などの主張や対応策を盛り込んでいる。
 中国の覇権主義的な行動を抑止するとともに、香港民主化弾圧や少数民族の人権抑圧にも反対するには、どのような対中外交・安保政策が有効なのか、各党とも国民への説明を尽くし、議論をさらに深めることが必要だ。
 特に、最近では中国が台湾への軍事的威嚇を強めていることがアジア最大の不安定要因となっている。米中関係が緊張し、台湾有事の危険性が現実味を帯びる中、日本としてどう臨むべきか。軍事一辺倒の対応では、日本周辺地域の緊張を、より高めるだけだ。
 岸田文雄首相は就任後、習近平国家主席との初の電話会談で、関係安定のために対話を重ねることで合意した。経済的に関係の深い中国とは対話を重視しつつも法の支配や人権を守れと毅然(きぜん)として言い続けるバランスが重要だ。
 日中両国は来年、国交正常化五十周年の節目を迎える。これを機に、先送りされている習氏の国賓訪日が実現するよう、国民感情の改善を図ることも欠かせない。
 一方、北朝鮮は九月以降、新型のミサイルを繰り返し発射し、兵器開発のピッチを上げている。この中には、事前の探知や迎撃が難しい潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)も含まれていた。
 北朝鮮のミサイルに対し適切に備えることは必要だが、未解決のまま残る拉致問題の早期解決には日朝間の対話が欠かせない。そのためにも米国や韓国など国際社会との協調が必要だろう。
 北朝鮮と向き合うのは難しい課題だが、各党とも対話に導くための知恵を競い合ってほしい。

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