<社説>物価高騰 暮らしに影響避けねば

2021年10月26日 07時33分
 物価の高騰が景気の足かせ要因として急浮上している。コロナ禍収束を意識した世界各国での需要増が原油高を誘発したことが背景にある。暮らしへの波及を阻止するため官民は協力して物価対策に本腰を入れるべきだ。
 ニューヨーク原油市場は先週、一バレル=八四ドル超と約七年ぶりの高値を付けた。液化天然ガス(LNG)の価格も高騰しており、国際的なエネルギー価格上昇が加速している。欧米のほか日本でも本格的な経済活動の再開が始まる中、急激な需要増が価格を押し上げている構図だ。
 需要増は流通網や生産現場にも影響を及ぼしている。貿易用のコンテナや輸送トラックが不足する一方、アジアを中心に工場での部品生産が間に合わず自動車や電化製品の組み立てに遅れが出ている。欧米では商品不足が目立ち始め日本にも波及する恐れがある。
 総務省が二十二日公表した九月の全国消費者物価指数=グラフ=は前年同月比で一年六カ月ぶりに上昇に転じ、物価高を統計上裏付けた。心配なのは電気・ガスやガソリン、灯油など生活に直結したエネルギー価格の値上げが顕著な点だ。賃金抑制が定着する中での値上げは、個人消費を冷え込ませ不況の引き金をひきかねない。
 国内経済は緊急事態宣言後、商業活動の再活性化に向けて動きだしている。だが物価高騰はその回復軌道に大きな障害として立ちはだかっている。
 客足が戻り始めたタクシー業界では原油を原料とするLPガスの急騰で利益が相殺されている。飲食店には輸送費高騰に伴う食材の価格上昇が直撃しクリーニング店でもボイラーに使う重油の値上げが経営の足かせになっている。
 衆院選後、政府は自治体と連携し物価高の直撃を受ける中小事業者への支援策を実行すべきだ。その際、地方銀行や信用金庫など地域金融の協力も欠かせない。
 十一月上旬の石油輸出国機構(OPEC)総会に向け、欧米主要国と共同で産油国に増産を強く働きかける外交努力も必要だ。国内外で政策を総動員し物価抑制を早急に図るよう重ねて求めたい。

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