<民なくして>虐待、いじめ…困難直面の子どもたち、居場所はオンライン

2021年10月27日 06時00分
 まず「いいこと」を話そうー。虐待やいじめなどの困難に直面する子どもたちに週1回、オンラインで会話を楽しんでもらう取り組みが続いている。文部科学省の調査では、2020年度の小中学生の不登校件数と小中高校生の自殺者数は過去最多。衆院選の最中、支援に携わるメンバーは「生きづらさを感じている子どもの新しい居場所が必要だ」と訴える。(小松田健一)

「オンライン居場所」に集まった子どもたちと言葉を交わす岡田さん=22日、神奈川県藤沢市で(一部画像処理)


 22日午後8時。「ただいま」「おかえり」。自宅にいるかのような言葉を交わし、子どもたちがパソコン画面に姿を見せる。NPO法人若者メンタルサポート協会(東京都渋谷区)が毎週金曜夜に、Zoom(ズーム)を使って開く「オンライン居場所」だ。

◆「いいこと」やコロナ禍の不安も

 参加対象は、不登校や親による虐待などさまざまな問題について協会に相談する子どもや若者たち。昨年6月に始め、この日は協会の相談員を含め小中学生や大学生ら30人ほどが集まった。参加者はまず、その日にあった「いいこと」を報告しあう。「学校のテストを乗り切った」「就職が内定した」。そのたびに皆で「良かったね」「すごい」と拍手でたたえ、和やかな雰囲気に包まれる。
 コロナ禍に話題が及ぶとさらに会話が盛り上がった。中学2年女子のMさん(14)は「学校行事がどんどん中止になった」と嘆く。女子大学生は「息抜きできる場所がないし、大学からはアルバイトを禁止された」と訴えた。
 会話に参加した同協会理事長の岡田沙織さん(48)は「親からほめられたことがない子が多い。自己肯定感を高めることが大切なんです」と話す。

◆具体性のない各党の子ども支援策

 衆院選では、自民党が不登校やいじめ、自殺などの問題について支援スタッフ充実や関係機関の連携強化を掲げ、立憲民主党は子ども政策を総合的に進める「子ども省」の創設をうたうなどしている。しかし各党とも、孤独で生きづらさに悩む子どもへどう手を差し伸べるか、具体的な内容に欠ける。
 岡田さんは、オンラインでつながるなどした遠隔地に住む子どもを、その地域の信頼できる支援団体へ素早く託せる仕組みが必要と考える。「行政が横の連携を仲立ちすることで、救える子どもが増える」。現場の声に真摯に耳を傾けてくれそうな候補者へ一票を投じるつもりだ。
 この日の最年少参加者だった小学6年女子のKさん(12)はつぶやいた。「自分に選挙権があったら行きたいな」

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