自民「敵基地攻撃能力」の保有検討 公明や野党は慎重姿勢 防衛力強化で論戦

2021年10月26日 21時49分
 北朝鮮の核・ミサイル開発や中国の軍備拡大を巡り、自民党が衆院選公約に相手国領域内の基地をたたく「敵基地攻撃能力」の保有や防衛費の倍増検討を掲げた。立憲民主党など野党の多くは防衛力強化の必要性を認めつつも、軍拡競争や憲法違反の武力行使につながりかねない政策変更に慎重で、主要な争点となっている。(上野実輝彦)

◆岸田首相「選択肢の1つ」

 岸田文雄首相は24日のNHK番組で「ミサイル技術が日々進化する中で国民の命や暮らしを守れるのか、敵基地攻撃能力についても選択肢の1つとして考えられないかと思っている」と主張した。
 危機感を訴える根拠は北朝鮮による19日の潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)発射実験だ。東北地方を遊説していた首相は同日帰京後、国家安全保障会議(NSC)を開き、関係閣僚に敵基地攻撃能力の保有検討を重ねて指示。万全対応をアピールした。
 敵基地攻撃能力は安倍晋三元首相が退任直前、次期政権に保有検討を要請。首相は賛同する考えを示し、安倍氏に近い保守派の高市早苗政調会長が取りまとめ役を担った公約に「相手領域内でミサイルを阻止する能力保有」の検討を明記した。さらに防衛費の国内総生産(GDP)比2%への倍増検討も盛り込んだ。
 だが、敵基地攻撃能力の保有は専守防衛を逸脱する恐れに加え、抑止力として機能するかを疑問視する意見も根強い。実際、北朝鮮はミサイル開発の軸足を移動発射式に移し、レーダーに捕捉されない兵器の研究を急いでいる。自衛隊が全ての敵基地を把握するには膨大なコストが必要だ。

◆立民・枝野代表「現実性は低い」

 立民の枝野幸男代表は「今から能力を得ようとしても現実性は低い」と指摘。日米同盟に基づき、米国が「矛」、日本が「盾」の専守防衛に徹するべきだと訴える。防衛費に関しても、地上配備型迎撃システム「イージス・アショア」の配備撤回問題などを挙げ、安倍政権からの米国製兵器の大量購入を批判する。

◆公明・山口代表「古い議論」

 公明党も軍事力拡大路線には慎重だ。山口那津男代表は敵基地攻撃能力は「古い議論の仕方だ」との認識を示し、防衛費の増額には「いきなり倍増するのは国民の理解を得られない」と指摘した。

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