高津式ID野球で躍進「絶対、大丈夫」 先発陣の管理徹底、打線は5番固定で機能

2021年10月26日 22時19分
胴上げ後にナインに囲まれ笑顔を見せるヤクルト・高津監督(中央)

胴上げ後にナインに囲まれ笑顔を見せるヤクルト・高津監督(中央)

 昨季まで2年連続リーグ最下位に沈んだヤクルトが一気に頂点まで上り詰めた。就任2年目を迎えた高津監督は「どう反省を生かし、戦うか」。投打ともに対策を綿密に練り上げた高津式の「ID野球」で、負け癖が付いたチームを一変させた。
 難題は昨季リーグ最下位のチーム防御率4・61の投手陣。「先発陣が大問題」。高津監督は、体調管理を徹底した。登板は基本的に中6日以上開けた。「昨年は悪くても使ってしまった」と石井投手コーチ。状態次第では迷わず登録を抹消し、回復を優先した。ゆとりのある登板間隔で、期待が高い高卒2年目右腕の奥川、24歳の速球派左腕、高橋ら若手も要所で好投。先発ローテーションを支えた。
 ブルペン陣は不調に陥った石山に代わりマクガフを抑えに起用した。セットアッパーには若い清水を抜てきし必勝リレーを形成した。先発で成績が伸び悩む田口を左腕不足のため、スタミナにやや難のあるスアレスは短い回なら150キロ超の速球で押し切れるとみて、中継ぎへ配置転換。適性を見極めて投手力を強化し、継投は厚みを増した。
 自慢の強力打線の鍵は5番だった。4番村上の打棒を生かすには直後の打者が重要になる。昨季は5番に12人も試し、定まらなかった。今季は最終盤こそサンタナを入れたが、7月半ばからはオスナで固定できた。米大リーグ経験も豊富な新外国人2人が打線の潤滑油として機能し、村上の前には青木、山田と実績十分の選手を並べて相手バッテリーに恐怖心を植え付けた。
 9月7日、阪神戦前の全体ミーティング。高津監督は現役時に、師と仰ぐ故野村克也元監督から「勝負は時の運や」と諭された思い出を明かした。「神様しか勝敗を左右できない。そこまでの準備をどうやるか」。名将の教えを説いて選手たちを鼓舞し、言った。「絶対、大丈夫。一枚岩でいけば絶対崩れない」
 熱は伝わった。同17日からの10連戦で7勝3分け、今月の3位巨人と2位阪神との6連戦は5勝1敗。優勝目前で3連敗と足踏みはしたが、最後は猛追する阪神を振り切った。昨季の苦い経験を教訓に知恵を絞った高津采配が、6年ぶりのペナントをもたらした。(対比地貴浩)

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