ちくわやコップで名曲披露、楽器分解で構造を解説…コロナ禍で苦境の若手演奏家が子ども向け動画作成

2021年10月27日 12時00分
 家庭にある日用品で名曲を演奏したり、楽器を分解してどうして音が鳴るかを解説したりー。クラシックの若手演奏家たちによる動画のシリーズが評判を呼んでいる。コロナ禍で人と集まるのが難しくなった子どもたちに音楽の喜びを届けながら、活動の場を失った演奏家を支援するプロジェクトだ。(太田理英子)

フルート奏者がちくわを使った演奏を披露する動画の一場面。曲の解説もしている

 フルートの代わりに、バレエ楽曲「剣の舞」を奏でるのは「ちくわ」。モンティの「チャルダッシュ」の演奏はコップを使う。台所のさまざまなモノを楽器にしてしまう動画は、再生回数が2万回以上に上った。コロナ禍で楽器演奏の授業がなくなった子どもたちに「おうち時間」での演奏の楽しさを伝える。

バイオリンの構造を解説する動画の一場面=ソニー音楽財団提供

 演奏家姉妹が、完成前のバイオリンを分解する動画もある。モミやカエデの板を組み合わせてできている楽器の構造を解説する。アニメーションを交えた子ども向けの楽曲「ピーターとオオカミ」の演奏と朗読も人気という。

アニメーションも交えた動画で、「ピーターとオオカミ」の楽曲と朗読を披露する演奏家ら

 動画作りは昨夏、子ども向けのクラシック音楽普及などに取り組む「ソニー音楽財団」が企画した。コロナ禍では演奏会が開けなくなっただけでなく、対面のレッスンも難しくなった。オンラインの活動を活発にして演奏家の後押しにつなげることを目指した。
 アイデアは18〜40歳の演奏家から募集し、採用者には賞金を出すことにした。550件の応募があった。財団の野口雅裕さん(36)は「予想以上の反響。多くの演奏家が困り、表現の場を探していることを痛感した」と話す。
 応募案から23件を採用し、財団が収録や機材提供をサポート。完成した動画を昨年12月から、ユーチューブで順次公開している。プロジェクトは今年も継続。動画の企画案だけでなく完成動画も募集している。企画案は11月8日、完成動画は10日まで受け付け中だ。
 緊急事態宣言の解除と、イベントの開催制限の緩和で徐々に演奏会は再開されているが、以前のような集客ができるのは、まだまだ先になりそうだ。野口さんは「今の音楽家には、演奏技術だけではなく、自分から音楽を伝える力が求められているのかもしれない。子どもたちには動画を通じて音楽に興味を持ってもらい、いつかはコンサートホールで生の音を聴いてほしい」と期待を込めた。動画シリーズのタイトルは「子ども向けクラシック音楽配信企画を通じた若手演奏家への支援」。

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