減り続ける投票所と投票時間 投票率の向上に識者「ネット活用」を提案

2021年10月28日 06時00分
 憲法で保障された選挙権を行使する場となる投票所の数が減り続けている。今回の衆院選では全国4万6466カ所。2017年の前回選から1275カ所(2・6%)、ピークの00年から約7000カ所(13%)減った。午後8時の投票締め切り時間を繰り上げる投票所の割合は全体の36・5%だった。投票所の減少が投票率の低下につながっているとの研究結果もある。識者は投票環境の充実に向けた対策強化を国に求めている。

◆「マンパワー不足」

 総務省によると、00年衆院選での投票所数は約5万3000カ所。過疎化や市町村合併に伴う投票所の統廃合に加え、高齢化で投票所管理者や立会人の確保が難しくなったことが減少の主な理由だ。
 この25年で投票所が約100カ所減った群馬県は「職員らのマンパワー不足もあり、投票所の効率運営のため減らしている」(県選管)と事情を説明する。
 投票締め切り時間は公選法で午後8時と規定するが、山間部や離島は事務負担を考慮し、自治体の判断で繰り上げが認められている。ただ近年は都市部の自治体でも、期日前投票の定着を理由に繰り上げが拡大しているのが実態だ。期日前投票所は5940カ所で、前回衆院選から556カ所(10・3%)増え過去最多だった。
 

◆「投票のあり方を考え直す時期」

 一方で、商業施設などでその自治体の有権者が誰でも投票できる「共通投票所」は、茨城、愛知、岐阜など11道県で計48カ所。前回の4道県計7カ所から大幅に増えたが、定着したとまでは言えない。
 
 大阪大学の松林哲也教授(政治学)は、05年、09年、12年の計3回の衆院選で、投票所数や投票時間と投票率の相関関係を調査。有権者1万人当たりの投票所が1カ所減ると投票率は0・17ポイント下落するとの結論を導き出した。投票時間と投票率の関係はさらに調査が必要という。
 
 松林氏は「今の制度は投票日当日投票所投票主義。現実の社会に合っていない」と指摘。期日前投票の充実、インターネット投票の実現など「投票のあり方を考え直す時期だ」と話す。(川田篤志)

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