東京国際映画祭 日比谷周辺へ会場移転 伝統の街で新機軸

2021年10月28日 07時42分
 東京国際映画祭(TIFF)が三十日に開幕する。三十四回目の今年は会場エリアを東京・六本木から、十七年ぶりに日比谷・有楽町・銀座エリアに移転。昨年中止になったコンペティションを復活させ、部門改編を行うなど新機軸を打ち出した。 (藤原哲也)
 「伝統ある映画の街で地の利もある。より多くの方に映画を楽しんでもらい、映画祭の認知度をいっそう高めたい」。九月のラインアップ発表で、最高責任者の安藤裕康チェアマンはこう意気込んだ。日比谷周辺は映画演劇の街として歴史があり、映画祭の変化に期待しているようだ。
 十一月八日までの期間中、屋外上映を入れて百二十六本を上映予定。一昨年の百七十三本、昨年の百三十八本と比べて少ないが、全体にアジアやヨーロッパの作品が多く、女性監督の作品も目立つ。
 審査員やスタッフの男女比もジェンダー平等を目指すなど、SDGs(持続可能な開発目標)と向き合う姿勢を鮮明にした。安藤は「ラインアップの中にはこれらの問題を扱った作品もあり、考える材料を与えてくれる。観客の皆さまと現代の課題に向き合っていきたい」と強調した。
 メインのコンペ部門は十五作品。日本からは松居大悟監督の「ちょっと思い出しただけ」、野原位(ただし)監督の「三度目の、正直」が選ばれた。審査委員長はフランス人俳優のイザベル・ユペールで、一昨年に続いて女性が務める。アジアの新鋭監督が対象のアジアの未来部門は、邦画二作を含めて十作品が賞を競う。
 部門改編では、最新作を集めた「ガラ・セレクション」、テレビ放映や配信目的のシリーズ作を扱う「TIFFシリーズ」の二部門を新設。今年就任した市山尚三プログラミング・ディレクターは「海外ではシリーズものの部門を作るのが一つの流れ。東京でもやるべきだと思った」。オンラインの取り組みなどコロナ禍の影響も残るが、新たな一歩を踏み出す。
 映画ジャーナリストの大高宏雄は「かつて渋谷で開催していた時は、街との一体感があった。六本木時代は袋小路に押し込められた印象で、広がりが少なく、インパクトが落ちていた」と指摘する。
 「歴史ある地区に移ったことで映画祭のムーブメントをどう広げられるのか見たい」と言い、ラインアップも「アメリカ映画に頼らず、アジアを中心とした方向性が鮮明になってきた」と評価する。「世界から注目されるために今は足場を固める時期。レベルを上げていけば発信力も高まる」と課題だった映画祭の知名度アップに期待する。

◆イーストウッド作品で開幕

オープニング作品の「クライ・マッチョ」 Ⓒ2021 Warner Bros. Entertainment Inc. All Rights Reserved.

クロージング作品の「ディア・エヴァン・ハンセン」 Ⓒ 2021 Universal Studios. All Rights Reserved.

 今年のTIFFは、クリント・イーストウッド監督の「クライ・マッチョ」で開幕。カンヌ国際映画祭で監督賞の受賞歴があるフィリピンの名匠ブリランテ・メンドーサ監督の「復讐(ふくしゅう)」をはじめ数々の話題作が上映される。世界の映画人が交流する是枝裕和監督企画のトークイベント「アジア交流ラウンジ」などのイベントもあり、スティーヴン・チョボスキー監督の「ディア・エヴァン・ハンセン」がラストを飾る。
 作品は、TOHOシネマズ シャンテ、角川シネマ有楽町などで上映。オープニング上映に先立ち東京国際フォーラムで、アンバサダーの橋本愛=写真=らが参加するセレモニーが行われる。

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