<社説>衆院選 辺野古の是非 どちらが合理的なのか

2021年10月28日 07時50分
 辺野古での新基地建設を進めるのか否か。米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の返還を巡る与党と主な野党の主張は真っ向から対立している。日米合意から二十五年。返還時期が見通せない中、どちらが合理的な選択肢なのか。
 立憲民主、共産、社民、れいわ新選組の野党四党は九月、「市民連合」を介して確認した衆院選の共通政策で「(同県名護市)辺野古での新基地建設を中止する」ことを明確にした。
 立民の枝野幸男代表は臨時国会の代表質問で「アジアの安全保障環境も激変し、米国も軍事態勢を見直している」と米側との再交渉を主張。岸田文雄首相(自民党総裁)は答弁で、日米同盟の抑止力維持、普天間の危険性除去には辺野古移設が「唯一の解決策」と従来の政府説明を繰り返した。
 新基地建設工事で最大の問題は東側の海底に広がる軟弱地盤だ。
 防衛省は昨春、地盤改良のための設計変更を申請したが、県は承認しない方針。地盤強度の検証が不十分など安全性に懸念があり、完工は困難との見方だ。
 二〇一三年の日米合意では普天間返還の時期は「二二年度またはその後」。国が今後、裁判で対抗し、改良工事を強行しても、運用開始までに十二年の期間と九千三百億円の工費が見込まれる。首相がいくら「一日も早い」返還と強弁しても、もはや現実味がない。
 抑止力強化という軍事目的にも疑義がある。軍事大国間では新型ミサイルの開発競争が進み、固定基地はミサイル攻撃に脆弱(ぜいじゃく)だ。
 米海兵隊はむしろ少数部隊による分散移動作戦を重視しているとされ、沖縄でなければ抑止力が維持できない理由も見当たらない。
 米連邦議会下院小委員会での二一会計年度国防権限法案の審議では、新基地の安全性や環境破壊に懸念が示された。辺野古での新基地建設を伴わない普天間飛行場の閉鎖・返還について、米側と交渉する余地は十分にある。
 沖縄県民は一九年の県民投票で辺野古移設に反対する意思を示した。日米安全保障体制が必要だとしても、地方自治や民主主義の原則を踏みにじる国策を強引に進めることは許されない。県民だけでなく全国の有権者が沖縄の現状を理解し、選択する必要がある。

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