<どうする相続>固定資産税、評価不当も 「負動産」まず自治体窓口に相談

2021年10月28日 10時44分
 手放したくても買い手がつかず、維持費ばかりがかさむ不動産「負動産(ふどうさん)」。相続すると毎年かかる費用の一つが固定資産税だ。本来は資産価値に応じて税額が決まるが、高すぎると感じるケースもある。「納得がいかない」と、自治体に税額の見直しを求めた読者の投稿から原因や対策を考えた。 (砂本紅年)
 岐阜県内の町に住む六十代の女性は五年前、会社員だった亡父から、町内の空き地計約七百平方メートルを相続した。固定資産税は年約十二万円。二年前、町に「売れないし、税金も高いので寄付したい」と申し出たが断られた。
 実際の価値を知りたいと、県内の不動産鑑定士に相談。土地の形状や場所などを基に鑑定してもらったところ、固定資産税の計算基準となる評価額の三分の一の額が妥当との結果だった。町の担当者に伝えると、翌年度の評価額は従来の三分の二に減り、税額も八万円以下になったという。
 女性は「田舎の土地なのに税金が高く、両親も質素な暮らしの中で払ってきた。できれば親の生前に何とかしたかった」と悔やむ。
 固定資産税は、土地や家屋などの所有者にかかる税金。課税対象の土地などが所在する市町村(東京二十三区内は都)に納める「地方税」で、市町村税の約四割を占める税収の柱だ。
 対象者には毎年春ごろ、課税明細書が届く。住宅用地の特例や、崖地などの土地の減額補正などが税金に正しく反映されているか確認しよう。投稿者のように評価額に不服がある場合、三年に一度の評価替えの年の決められた期間内に、専門家でつくる各市町村の委員会に審査を申し出ることが可能。審査決定に不服があれば取り消しを求めて提訴することもできる。
 ただ租税訴訟に詳しい東京の弁護士で、租税訴訟学会副会長の山下清兵衛さんによると、裁判まで争う人は少数。個人の場合、請求金額が少なく、弁護士費用を支払うと赤字になることが多いためという。弁護士を選任しない本人訴訟でも争えるが、租税訴訟の場合、納税者側が勝訴する割合は一部勝訴を含めて昨年度で一割に満たない「狭き門」だ。
 まずは投稿者のように、自治体の担当窓口に苦情相談するのが早道。税額が不当である証拠を示す資料などを持ち込むといい。総務省の調査によると、固定資産税と都市計画税の課税ミスなどによる税額修正があったのは、二〇〇九〜一一年度の平均で納税義務者の0・2%。電算システムのデータ入力の誤りや評価基準の適用忘れなど、修正要因は多岐にわたった。
 「明白な誤りがあれば、税の公平性の観点から耳を傾けてくれる担当者は少なくない」と山下さん。「納税は毎年のこと。少しでも税額が下がれば、負担軽減の効果は高い。やってみる価値はある」と助言する。
 固定資産税 毎年1月1日時点で固定資産(土地、家屋、機械や設備など事業用の償却資産)の所有者として課税台帳に登録されている人に課税される。税額は、所有資産の評価額(課税標準額)に原則、標準税率1・4%を掛けて算定。本年度は3年に1度の評価替えの年に当たるが、新型コロナウイルスの影響で税額が前年度を超えないよう対策が取られた。

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