<プロに聞く くらしとお金の相談室>年金記録や支給額 どう確認?

2021年10月28日 10時42分
<Q> 先日、日本年金機構からの通知書が誤って別人に送付されたというニュースを見て、不安を覚えました。自分はあまり年金の知識がなく、もし何か間違いがあったとしても、そのまま気付かないかもしれません。自分の年金記録や支給額を確認する方法を教えてください。

◆計算式で「見積額」把握 社会保険労務士・武譲二さん

<A> 自分の年金記録がどうなっていて、将来いくらぐらいの年金が受け取れるのか。そのイメージを持っておけば、今回のようなトラブルが起きたときも「おかしい」と気付き、必要以上に不安にならずに済みます。いくつかのパターンについて、年金額の計算方法を見ていきましょう。
 まず、厚生年金に加入している会社員の場合、老齢基礎年金と老齢厚生年金の両方を受け取ります。老齢基礎は40年(480カ月)保険料を納めると満額の年78万900円(2021年度)ですが、老齢厚生は現役時代の給与によって変わります。具体的には、加入期間を通じた給与の平均に所定の係数、加入月数を掛けると、年額が計算できます。
 例えば、月給30万円、年間の賞与120万円の会社員の場合、年金額はいくらでしょうか。03年3月以前は賞与を含まない月給の平均で計算していましたが、同4月以降は賞与も含めるようになりました。03年3月以前に20年、同4月以降に20年の計40年勤めたとすると、年金額は以下の計算式で求められます。
▽03年3月以前分
 30万円×7.125/1000×240カ月
▽同4月以降分
 (30万円+10万円←賞与の月換算額)×5.481/1000×240カ月
 計算すると、老齢厚生は年約104万円。実際には、物価や賃金の変動を加味して再評価するため額が少し違いますが、およその水準はつかめます。
 専業主婦など、会社員の配偶者に扶養されている「第3号被保険者」は、自分で保険料を納めていなくても老齢基礎のみを受け取れます。一方、パート勤務で自ら社会保険に加入した期間があれば、その分の老齢厚生を受け取ることができます。
 例えば、育児や家事に30年専念した後、月8万8000円、賞与なしの条件で10年間、パートで働いた場合はどうなるでしょうか。先ほどの計算式に当てはめると、
 8万8000円×5.481/1000×120カ月
 となり、老齢厚生は約5万8000円です。パート従業員に対する社会保険加入義務の適用範囲はどんどん広がっているので、これからはこうしたパターンの人が増えるでしょう。
 自営業者は国民年金のみで、保険料を40年納めれば年78万900円。自営業者の配偶者は第3号被保険者と違い、自分で保険料を納めなければ老齢基礎を受け取れません。
 自営業の人たちは年金が少なくなりがちですが、「付加年金」という制度が使えます。毎月400円の付加保険料を追加で納めると、年9万6000円が老齢基礎に上乗せされます。上乗せ額に比べると保険料が安く設定され、2年以上受給すれば元が取れる計算になります。
<たけ・じょうじ> 1958年、名古屋市出身。愛知県社会保険労務士会副会長。アパレル会社員などを経て2000年に社労士登録。行政書士、ファイナンシャルプランナーの資格も持つ。

◆定期便など忘れずチェック

 自分の年金額の目安をつかむことに加え、「日本年金機構からの通知書を日頃からチェックすることも大切」と、武さんは呼び掛ける。
 年金加入者に毎年1回、誕生月にはがきで送られてくる「ねんきん定期便」は、直近13カ月分の保険料納付額などの記録を確認できる。35歳、45歳、59歳の節目の年は全期間分が封書で届く。50歳未満はこれまでの実績で計算した年金額、50歳以上は将来の見込み額も分かる。
 年金額は物価や賃金の変動に応じて年度ごとに改定され、毎年6月の「年金額改定通知書」で受給者に通知される。6月〜翌年4月の年金の振込額を知らせる「年金振込通知書」は、基本的に年金額改定通知書と一体となっているが、年金天引きの社会保険料の変動などで振込額が変わったり、振込先口座を変更したりした場合はその都度届く。
 こうした通知書の内容を含めた年金に関する情報は、同機構が運営する「ねんきんネット」でも閲覧できる。 (河郷丈史)

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