衆院選茨城 7区 激戦ルポ 「無敗の男」野党入り、困惑も

2021年10月29日 07時06分
 衆院選の県内七選挙区の中でも、十五選を目指す立憲民主党前職の中村喜四郎氏(72)と自民党前職の永岡桂子氏(67)の六度目の対決となる茨城7区は、全国有数の注目区。保守系無所属として無類の強さを誇り、「無敗の男」の異名を取る中村氏が立民入りしたことで、従来の「保守分裂」の構図が一変したからだ。(出来田敬司)
 「昔の自民党ならば役人の不祥事で大臣を辞めた。今は大臣が弱い人に責任を押し付けている」
 二十八日、坂東市逆井(さかさい)での街頭演説。自らオートバイを運転する独特の遊説スタイルで知られる中村氏は、ピンク色のライダー服姿で「古巣」を舌鋒(ぜっぽう)鋭く批判した。
 四十代で建設相などを務め、「自民党のプリンス」ともいわれた中村氏は、ゼネコン汚職事件で実刑が確定して自民を離党したが、服役後も無所属で連続当選。第二次安倍政権以降は野党に軸足を移し、昨年の新立民結党に参画した。
 中村氏は、森友学園への公有地払い下げを巡る公文書改ざんや二〇一九年参院選広島選挙区での買収事件などを挙げ、「今の自民には自浄能力がない」と指摘。「野党第一党に力を与え、与野党伯仲を目指さなければ」と立民入りの経緯に理解を求めた。
 もっとも、長年の支援者には戸惑いもあるようだ。自民の参院議員を務めた父母の代から続く後援会「喜友会」の会員というタクシー運転手の男性(74)は「うちは親の代から応援してるんだ。立憲民主党? 本人の思想なんだろうけど、この地域には合ってないな」とつぶやいた。
 中村氏は共産党との距離も縮める。志位和夫委員長ら幹部と良好な関係を築き、昨年一月の党大会にも出席。共産は7区の候補者擁立を見送った。中村氏が街頭演説で立つトラックの荷台に並ぶ百枚を超えるポスターには、全国の立民候補らだけでなく、共産候補のものも含まれる。
 ただ、中村氏の選対幹部は、古参の支援者をはばかってか「(共産には)選対には加わってもらっていない。それほど期待をかけてはいない」と話した。
 一方、永岡氏は、河野太郎党広報本部長や野田聖子地方創生担当相など知名度の高い応援弁士を次々に投入している。
 二十八日、菅義偉前首相を招いて古河市仁連(にれい)で開いた街頭演説会には、大井川和彦知事のほか、針谷力(はりやちから)古河市長、木村敏文坂東市長、染谷森雄五霞町長、地元の自民県議や市町議らが集結。大井川氏は「『無敗の男』を引きずり降ろさなければ」と叫び、菅氏も「ぜひ永岡さんを小選挙区から国会に送ってほしい」と投票を呼び掛けた。
 選挙区には、中村氏の「孤立」を印象付けるかのように、首長や県議が永岡氏を囲む二通りの「九連ポスター」が貼られている。
 永岡氏が、首長や県議らの支援とともに期待を込めるのが「公明票」だ。
 永岡氏は急逝した夫の後継として政界入り。過去五回の選挙では中村氏の地盤を崩せず、いずれも比例復活に甘んじた。公明党が、連立を組む自民の永岡氏ではなく中村氏を推薦してきた影響もある。中村氏の立民入りで、公明は今回、永岡氏推薦に回った。
 永岡氏はこの日の演説でも「小選挙区は永岡、比例は公明党でお願いします」とアピール。初めて経験する「比例は公明」と訴える戦いで、悲願の選挙区当選に望みをかける。
 公明県本部代表の高崎進県議は、推薦先を変えたことについて「立場を変えたのはあちら(中村氏)で、こちらではない。それぞれ別の道を歩んだということ」と突き放した。
 前職同士の戦いに割って入るのが、日本維新の会新人の水梨伸晃(のぶあき)氏(42)。各地でつじ立ちし、教育費の完全無償化や消費税の減税などを主張している。
 「変わらない政治が茨城7区で続いている。昭和の古い政治を打破し、日本を改革しましょうよ」
    ◇
永岡桂子67 (元)消費者特委員長 自<前><5>公
水梨伸晃42 参院議員秘書 維新
中村喜四郎72 (元)建設相 立前<14>
 ※敬称略。届け出順。<>数字は当選回数
古河市、結城市、下妻市(旧千代川村)、常総市、坂東市、八千代町、五霞町、境町
衆院選2021
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