「俺の土地だから自由だろ」行政に問題を指摘されると逆ギレ…強引に盛り土工事進めた前所有者<熱海・土石流>

2021年10月29日 12時31分
捜索した会社を出入りする関係者ら=28日、神奈川県小田原市で

捜索した会社を出入りする関係者ら=28日、神奈川県小田原市で

 静岡県熱海市伊豆山で発生した土石流で、起点となった土地の前所有者で被害を甚大化させたとされる盛り土を造成した神奈川県小田原市の不動産管理会社と、現在の土地所有者に対し静岡県警の強制捜査が入った。当時を知る関係者の証言や、県と熱海市が公開した行政文書などからは、前所有者が行政に時に強い口調で迫り、工事を進めた姿が浮かび上がる。 (塚田真裕)

◆「上が動いたら大変なことに」市の担当者に迫る

 前所有者を知る関係者は伊豆山での開発を「やり方が巧妙だった」と振り返る。行政側に問題を指摘されると「俺の土地だから自由だろ」などと主張。「差別だ」と怒鳴ることもあったという。関係者は「証拠書類は、早くに捨てているのではないか」と疑う。
 文書には、当初計画していた大規模な宅地造成計画が進まないことに「裁判する。大臣に訴える」「上の方が動いたら、大変なことになる」と市の担当者に迫っていた記録が残る。
 前所有者は2006年9月、土石流災害の起点となった盛り土地点を含む一帯120平方メートルを購入。文書によると当初、一帯を宅地造成する計画だった。
 だが、すぐに届け出の範囲を超えて森林を伐採したことで07年5月、県が作業中止を指示。前所有者は植栽など復旧工事を経て08年8月に市に、「小田原の現場で生じた残土を処理したい」と市に計画の変更を説明した。09年から谷を埋める形で、土砂の搬入が始まったとみられる。

◆最終的には申請を大きく超える盛り土に

 同社は盛り土に関する県条例で必要な届け出の工期が切れたままだったり、申請と異なる工法で工事したり、たびたび行政指導を受けた。措置命令など強い対策が取られそうになると、申請を出し直したり、対策工事に一時、着手したりして改善する姿勢を見せた。
 10年11月ごろまで土砂の搬入を続け、県の推計によると、最終的には申請の高さ15メートルを大きく超えて高さ50メートル、届け出の2倍の7万立方メートルの盛り土がされた。
 11年2月に土地の所有者が変更されたが、盛り土の整形や緑化がされただけで、抜本的な安全対策は講じられなかった。

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