衆院選群馬 組織力、公明票で自民圧勝 高崎経済大・増田正教授が選挙結果分析

2021年11月2日 07時18分

衆院選の結果について語る増田教授=高崎市で

 三十一日投開票の衆院選は、自民党が群馬、栃木県の小選挙区で圧勝し、各野党は苦戦した。高崎経済大の増田正教授に選挙結果を分析してもらった。(聞き手・安永陽祐)
 −結果をどうみるか。
 群馬県は首相経験者を多数輩出し、全国でも一、二を争う自民(保守)王国。相変わらず後援会の浸透度が違い、党以前に存在が大きい。自民の五議席独占は端的には保守地盤と組織力による。公明党の票も上乗せできた。
 それでも自民候補者の発言から、新型コロナウイルスをコントロールできなかった与党への批判と野党共闘が脅威に映った部分があるようだ。前回は立民に判官びいき的な風が吹いたが、今回は吹かなかった。
 栃木2区では、福田(昭夫)さんが得票率53・39%で勝ち、この比率は前回とほぼ変わらない。知事の経験や二〇一七年総選挙での野党共闘の支援枠組みなどがあり、今回の野党共闘の成功例と言えそうだ。
 −群馬1区では野党共闘が実現しなかった一方、与野党の一騎打ちになった選挙区もある。今回の野党共闘と成果をどうみるか。
 立憲民主・共産党の共闘は、小選挙区での候補者調整はできたが、比例区の底上げにはつながらず、立民は一人負けとも言える。共産も小選挙区との連動が期待できなくなり、議席は伸びなかった。野党共闘の枠組みは機能しなかった。
 群馬の野党共闘は、候補者乱立の1、2、3区と一本化された4区、5区では背景が異なる。1区は立民の候補者調整の失敗などに起因するもので、2区は元職の割り込み、3区は連合などの支持団体の足並みの乱れのせいだろう。4区、5区は、最初から勝ち目がない選挙区での譲り合い共闘だった。
 日本維新の会は栃木の柏倉(祐司)さん、群馬の宮崎(岳志)さんは届かなかった。両県1区の野党候補の乱立を象徴するもの。野党は戦略の練り直しを求められるだろう。
 −争点は深まったのか。結果が今後の政権運営にどのような影響を与えるか。
 コロナ禍の経済政策、財源、分配は議論が深まっていない。自民を除き、給付ありきの議論になり、岸田政権も未来選択選挙、新しい資本主義などとは喧伝(けんでん)しているが、特に新しい政策は見えない。変わらない自民と財源不在でせめるバラバラの野党に見える。
 自民は岸田さんに総理総裁、内閣の看板をすげ替え、傾聴力や刷新のアピールに成功した。野党からすれば、菅前首相や二階元幹事長が交代し、分かりやすい標的が消失した。
 通常、与党は「業績投票」で評価されるが、今回は岸田総理が「未来選択選挙」と銘打ち、国民の目線を不満より安定に向けさせた。与党は政権の枠組みが承認され、安定多数を背景にこれまで通りの国会運営を続けるだろう。維新の躍進もあり、野党の切り崩し路線を明確にしそうだ。
<増田正(ますだ・ただし)> 1967年、千葉県柏市生まれ。慶応義塾大法学研究科政治学専攻博士課程修了。96年4月に高崎経済大地域政策学部専任講師となり、2008年4月から同学部教授。専門は地方政治論や投票行動論。埼玉県北本市在住。54歳。
衆院選2021
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